われわれは経済学の基礎で需要と供給の法則を学んだ。教科書では、需要の変化に応じて供給が変化すると説明されている。需給がどれだけ変化しても、2つの曲線が交わるところが商品やサービスの価格となる。この法則は、市場がどのように均衡するかを説明する強力な手段となる。
しかし、この法則はしばしば見逃されがちだが非常に重要な仮定を前提としている。需要と供給には弾性があり、量は無限であるという前提があるのだ。現実世界では、物理法則の制約があり、単純にその前提が当てはまるわけではない。しかし、インターネットでは地理的制約がないため、ルールは再び変わる。そこでこの記事では、いくつかの違う種類の需要と供給のシナリオについて見ていく。われわれの答えは(結論が先で恐縮だが)Googleはインターネットの究極の打ち出の小づちだということだ。では、その仕組みを見ていこう。
物理世界の古典的な例、そしてひょっとすると都市型ビジネスの最古の例かもしれない、夫婦で営む食料品店を考えてみよう。夫婦は単なる人間に過ぎないので、1日の生産量には限界がある。これは単純に、彼らが対応できる顧客の数に物理的な限界があるということを意味している。したがって、供給は限られている。また、商品がどれだけ良くても、物理的な店舗である以上そこに来る人の数にも限りがある。地理的な位置が需要に上限があることを示唆しているわけだ。これらの物理的制限はどれも夫婦にとっては悪いニュースだ。どれだけ熱心に働いても、彼らの能率が最大になった後は収入は頭打ちになる。
Starbucksのような大企業は、店舗が1つであるという条件から自身を解放してさまざまな土地へ拡大していくことでこの問題を解決した。このことにより、大企業は規模の経済を活用することができるようになった。規模の経済とは1単位の追加生産をより低い費用で行えることを指し、典型的には技術やノウハウなどがあって実現可能となる。歴史的に、地理的な拡張はフランチャイズ形式で行われている。これは、それぞれ独立に運営されている店舗が親会社から供給を受けると同時にブランドの提供を受け、事業遂行上の規則に従うことだ。興味深いことに、Starbucksは技術的にはフランチャイズではない。これは法則の例外と言えるかもしれない。とにかく、賢く運営されているフランチャイズは、地理的拡大をてこにして収入を指数関数的に成長させることができる。
それでは、物理法則はオンライン世界にも適用されるのだろうか。結局のところ、ビットを運んだりコンピュータを動かすのにも電気を使っている。例えばAmazonのサーバは物理的な空間を必要としている。そして最後に、われわれの脳がこの星の上のすべてのソースコードやHTMLを作り出すのにも、カロリーが日々消費される。それでも、インターネットが物理法則から受ける制約は現実世界に比べればはるかに緩い。これは、摩擦がほとんどないためだ。少なくとも、われわれはウィジェットをドラッグアンドドロップしたり、ブログの記事を打ち込んだりするときに、ほとんど摩擦を感じない。2つの事実がある。ソフトウェアは「ソフト」であるということと、インターネットには地理的境界がないということだ。これが、全く異なる事業の規模と力学につながる。
これを理解するために、境界のあるオンラインビジネスの例から始めてみよう。Read/WriteWebのような特定の分野にテーマを絞ったブログがいい例だ。物理世界では供給には限りがあった。われわれの執筆者たちは昼夜なく働いてウェブ技術に関する新鮮な分析の記事をお届けしているが、1日あたりの記事の数は限られている。10以下と言ったところだろう。さらに、Read/WriteWebに来る人の数も限られている。このブログは非常に成功しており、毎日8万人以上の読者がいる。これは大きな数ではあるが、限られていることには違いない。
最後に、どんなブログでも、あげられる収入には、トラフィックと提供できる広告の量によって定まる限界がある。したがって、需要と供給の限界の面から言えば、ブログは夫婦で営む店と同じようなものだ。ただ、重要な違いが1つある。規模だ。地域の小売店で1日8万人にサービスを提供することができるだろうか。
規模の違いは、AmazonをBarnes and Noble(Barnes and Nobleは全米規模の書店チェーン)と比較するとより明らかになる。Amazonは書籍から始まったが、ブランドを確立した後は多くの他の分野にも拡大していき、ついにBarnes and Nobleを追い抜いた。Amazonの収入曲線は、Barnes and Nobleの収入曲線よりもはるかに大きい。重要な違いは、物理的な意味での地理的な制限がないということだ。
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