DapperとTeqloのようなアプリケーションが全体としてどんな効果を持つかを示したのが、以下の図だ。
このように、(Amazon E-Commerceサービスのような)オープンAPIとスクレイピング、マッシュアップ技術を組み合わせると、どんなウェブサイトでも、情報を提供しているウェブサービスのように扱うことができるようになる。情報(より正確には「データ」)はオープンになる。そして、これによってソフトウェアがこの情報を集合的に利用することが可能になる。ウェブは問い合わせを行い、リミックスすることが可能な本物のデータベースになるわけだ。
これはすごいことのように聞こえるが、そもそも合法だろうか。
スクレイピング技術の合法性は、実際かなり疑わしい。ある意味では、これはウェブサイトが所有する情報の窃盗だと見ることもできる。どこまでがコピー/ペーストでどこからがスクレイピングかがはっきりしないため、問題の全体像は複雑だ。ウェブページの情報をユーザーがコピーして保存するのはかまわないだろうが、ソフトウェアで自動的に処理するのは違法かもしれない。ページをスクレイピングして、情報源を表示することなしにサービスを提供することはおそらく違法だろう。
しかし、スクレイピングは止まりそうにない。Napsterに関する法的問題が、人々がPtoP共有ソフトウェアを書くことを止められなかったことや、最近のYouTubeの訴訟が著作権保護対象である動画の投稿を止められないのと同じだ。フリーに見える情報は、フリーだと受け取られている。
ウェブが1つのデータベースになった後に訪れるチャンスを逃すのは、いかにも惜しい。もしこの変換がどちらにせよ起こるのであれば、一貫性のある方法でやることを考えた方がよいのではないだろうか。
ウェブサイト(特にオンライン小売店)がAPIの提供を検討するべき理由はいくつもある。最も重要なのは管理の問題だ。APIを作れば、スクレイパーが不必要になると同時に、誰がどのように、どんな理由でデータを使っているのかを追いかけられるようになる。Amazonと同じように、サイトがこれを利用してアフィリエイトを促進し、サイトへトラフィックを誘導することも可能だ。
古い見方では、データを開示しないでいることは競争上有利だった。新しい現実では、データの公開が優位化戦略になる。情報を守るのに汲々とするのを止めて、APIを提供し、それに課金し始めることが現実的な打ち手なのだ。APIの呼び出しに少額の課金を設定することは(Amazonのウェブサービスを考えてほしい)、サービス利用者の費用負担は高くならないだろうから、受け入れられるだろう。しかし、量が多くなれば大きなお金になるチャンスもある。これがAmazonが自社のウェブサービス戦略で見込んでいることであり、これはおそらくいい賭けになるだろう。
ウェブがリミックス可能になるにつれ、全体のシステムはプラットフォームとデータベースの両方になる。ただし、この変化は順調にはいかないだろう。1つには、規模性の問題が大きい。そして、法的な問題も決して単純ではない。
しかし、ウェブサイトがウェブサービスになることは、すでに「もし」という問題ではなく「いつ」そして「どうやって」という目の前の問題だ。APIは管理可能で分かりやすく、ウェブサービスとなるには望ましい手法だ。しかし、APIがなかったり、不十分であったりすれば、スクレイピングが今後も続き、広がっていくだろう。いつもの通り、時間が審判を下すだろう。しかしこのサイトでは近いうちに、あなたの事業が「Web 3.0」にどう備えるべきかについて、フィードバックと記事を提供する予定だ。
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