ランキングを見れば明らかなように、無料動画を豊富に取り揃え、広告ビジネスを目指すサービスが上位を占め、有料動画での収益をメインに据えたサービスが苦戦しているという構図。圧倒的なコンテンツ量を無料で提供するというのがGyaOのアドバンテージですが、番組制作費などがUSEN本体の経営負担となっているというニュースもあり、これらの先行投資が大きく花開くまで、まだまだ状況は混沌としているといっていいでしょう。
そんな中、登場してきたのがYouTubeです。コンテンツは一般ユーザーの投稿なので、制作コストはゼロ。ブログを中心とした口コミベースで急拡大しているため広告宣伝費もかからず、まさに今年前半の目玉サービスといっていいでしょう。今回の調査で国内ネットユーザーの5.4%が利用していることが判明したこのサービス、Google Video(同じ質問で、Google Videoと答えた人は2.0%)とともに今後どう使われていくのか、次はこんな質問をしてみました。
●「YouTube」「Google Video」などの動画共有サービスに、自分が家庭用ビデオで撮影したり、パソコンで制作した動画をアップロードしたいと思いますか?
1 | アップロードしなくていい | 76.0% |
2 | アップロードしたい(知人など限定で共有) | 17.6% |
3 | アップロードしたい(広く一般に公開) | 4.9% |
4 | すでにアップロードしている(知人など限定的で共有) | 0.8% |
5 | すでにアップロードしている(広く一般に公開) | 0.7% |
ユーザーの投稿が運営の基盤となっているYouTube、Google Videoのサービスです。ただ見るだけでなく、どれくらいの人が送り手となり得るのか調査してみました。「アップロードしなくていい」(76.6%)という回答の多さには正直面食らいます。ブログ以降の個人メディアの進化において、次は動画と言いたいところですが、やはり動画映像への敷居はまだ高いようです。テキストと違い、映像情報は、編集などによる、送り手のコントロールが及ばない範囲が多いため、リアルで生々しい個人の情報をネット上に置くことへの抵抗感があるのでしょう。
YouTubeには多くの素人ビデオが投稿されていますが、日本人と思われる人の映像作品は利用率に比べ少ないようです。「アップロードしなくていい」の回答には、欧米とのプライバシー意識の差があるのかもしれません。
それではアップロードしたいという人はどんなコンテンツを投稿したいのでしょうか?こちらも聞いてみました(自由回答)。YouTubeの人気コンテンツが、テレビ番組や録画ビデオからのキャプチャ映像であることから、同じような映像をアップロードしたいと回答する人が多くいました。こういった著作権侵害の問題をどうクリアしていくかは、動画共有サービスの発展にとって大きな課題です。
一方で、「子供の成長記録」や「家族旅行の思い出」「結婚式の模様」「知人へのビデオレター」など、家族や仲間内で映像をシェアしたいという、2位の「アップロードしたい(知人など限定で共有)」に基づいた回答も多く寄せられました。3位の「アップロードしたい(広く一般に公開)」と大きく差をつけ、仲間内での共有と一般への公開という間でも敷居があるようです。
これらの映像は、正直、第三者の視点からは楽しめるものではないでしょう。個人メディアとしての映像制作のリテラシがどこまで発達するかが、YouTubeなどのサービスが利用拡大するうえでの肝かもしれません。また回答の中には「ペットを撮影した映像」というものも多くありました。ペットの映像や、例えばコスプレ映像など、同好の趣味コミュニティで楽しむコミュニティ志向の強いサービスが、日本人にフィットする可能性はあるかもしれません。
おそらく今後YouTube型の後発サービスがいくつも登場するでしょう(慶応大学DMCの「VOLUME ONE」やフジテレビの「Watch Me!TV」など)。しかしながら、これまでのブログサービスと同じように情報発信するユーザーがたくさん登場するほど大ブレイクするかどうかは、現時点では未知数です。テキストと映像のリテラシーの違いを見極め、ユーザーの映像リテラシーをどのように育てていくか、という点が今後は大事なように思います。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」