フジテレビジョンとチームラボビジネスディベロップメント(チームラボBD)は5月1日、映像コミュニケーションの活性化を目的とした「フジテレビラボLLC合同会社」の設立を発表した。
合同会社(Limited Liability Company:LLC)とは、5月1日施行の「会社法」で規定された新しい会社形態で、設立は5月中旬の予定。LLCを採用した点について、フジテレビジョン 取締役 情報制作局長の太田英昭氏は「法人株を持っていながら、重要な決定事項に対して取締役会や株主総会などが要らないスピード感」をメリットとして挙げた。
フジテレビラボLLCのメイン事業となるのは、ユーザーがインターネット上で簡単に動画を発信できる「Watch Me!TV(ワッチミー・ティービー)」の運営だ。Watch Me!TVは一般ユーザーから動画を収集し、配信するプラットフォームである。集める動画は映像ブログ、オピニオン、アート、パフォーマンスなど個人発信のメッセージから、旅行情報、商品情報、海外トピックス、講義や講演などの投稿動画クリップ、スポーツ、映画、音楽といったエンタテインメントまで幅広く扱う予定だ。
Watch Me!TVは動画ポータルサイトに、映像クリップに対して評価やコメントが付加できるコミュニケーション機能を備えるほか、クリエイター発掘の場としても利用していく。太田氏は「現在の地上波テレビとは違う映像の使い方で、さまざまな形の情報発信ができるスキームを作れるかが大きな課題だった」とし、可能性のあるものを積極的に取り扱っていくロングテール的なビジネスチャンスを見出すという。また、将来的には地上波テレビ番組との連動に加え、プラットフォームビジネスの拡大による教育や医療への貢献なども視野に入れているようだ。サービスは7月にベータ版試験運用が開始され、10月には正式オープンの予定。なお、映像編集用のオリジナルツールも提供が予定されている。
サービス利用料は、バナーや検索・コンテンツ連動広告、レコメンド、アフィリエイトなどの広告を収入源としているため無料。事業の成長に応じて、動画コンテンツの販売や各種エージェントフィー、携帯電話向けサイト連携・課金といった複次的な事業収入も検討している。ユーザー数は2007年度で100万人、2010年度で280万人を目標とし、収入については2010年度で約11億円の広告売上を見込む。
動画ポータルサイトでは公序良俗に反するものが問題になりやすい点について、チームラボBD 代表取締役社長の森山雅勝氏は「著作権の問題を含め、検閲システムおよび人的作業により徹底的にチェックします」と語り、登録時にある程度の個人情報入力を求めることも示唆した。
フジテレビラボLLCではWatch Me!TV運営のほか、各種コンテンツに関する企画や製作、配信、販売、広告事業、インターネットを含む各種メディアにおける映像制作、配信、視聴などの技術開発、文化関連・教育関連事業やその他事業に関する企画、製作、興行、コンサルティングなどを行う予定。
出資金額は4億円で、内訳はフジテレビジョンが2億4000万円、チームラボBDが1億6000万円となっている。なお、フジテレビラボLLC合同会社の代表者には、現在フジテレビジョン情報制作局 情報制作センター 情報企画部 副部長を務める時澤正氏が就任する予定だ。
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