慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC機構)は5月10日、インターネット上で動画コンテンツを配信、共有するためのプラットフォーム「VOLUME ONE」を発表した。現在、試験運用が行われており、サーバ上にアップロードされた映像を実際に閲覧できる。
VOLUME ONEでは、ユーザーがアップロードした動画コンテンツを自動的にFlash Video形式に変換し、ネット上での配信と共有を可能にする。動画のフォーマット変換を行うエンジン部分にはオープンソースソフトウェアであるFFMPEGを利用。ユーザーインターフェースはFlashによって構築されており、動画一覧画面での日付や閲覧回数、タイトルによる並べ替えや、動画のブックマーク登録、ブックマーク上での動画の並び順の入れ替えといった作業が行える。
また、コンテンツ情報のRSS配信、友人へのリコメンド送信機能、ブログやホームページなどへの埋め込み機能なども実装されている。いわば、YouTubeのような動画共有サイトを構築するためのプラットフォームである。
現在公開されているベータサイトでは、一般ユーザーによるコンテンツのアップロードはできないが、数名のパネリストによって作成されている各チャンネルの動画が閲覧できる状態になっている。
VOLUME ONEは、慶應義塾大学DMC機構が文部科学省の科学技術振興調整費による受託業務のひとつとして開発したもの。同機構教授の岩渕潤子氏によれば、「映像コンテンツをブログ感覚で簡単にを配信できるプラットフォーム」を目指したという。今回の発表はプラットフォームの披露が目的で、ビジネスモデル、サービスモデルの検討や、利用方法についての議論は今後の課題としている。
また、同機構助教授の金正勲氏は、YouTubeやフジテレビジョンらが先日発表した「Watch me!TV」などとVOLUME ONEの違いとして「研究機関発のプラットフォーム」である点を指摘。経済的な価値だけでなく、教育分野や研究分野などでの展開や、個人の作成したコンテンツによる「放送の公共性」という観点での実験など、あらゆる可能性を検討、議論していきたいとする。
VOLUME ONEには今後も継続的に機能が追加されていく予定だ。近々実装が予定されている機能としては、RSSによるポッドキャスト配信、メタデータによる検索、閲覧者による動画のレーティング機能などがあるという。
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