松下電器産業の株価がここにきて戻り歩調となってきた。株価は1500円水準を下値下限とするボックス推移となっていたが、2月4日の安値1509円を底にして反発のトレンドを鮮明にしてきている。デジタル家電関連企業の業績不振観測が高まるなかで、松下電器の強さについて探った。
松下電器の株価が1580円台にまで回復をみせている。2月4日に会社側が2005年3月期の第3四半期(2004年10〜12月)の連結決算を発表、営業利益で前年同期比24%増の883億円を確保した。同時に今3月通期の連結営業利益について、従来予想の2800億円から3000億円(前期比53%増)に増額修正したことが好感されているようだ。上方修正の理由について、会社側では、付加価値の高いデジタル家電製品の伸びと、人員削減効果を挙げている。今期は9月中間期までに4000人が早期退職したが、下期も3000〜4000人の退職を見込んでいるという。退職金の積み増しで、今3月期の連結純利益は、従来予想比130億円減の500億円(前期比19%増)にとどまる見通しだ。
大和総研は2月15日付で松下電器についてレポートを発表し、レーティング(投資判断)で5段階のうちの上位から2番目の「2」を継続するとしている。さらに、目標株価を従来の1700円から1800円に引き上げている。同リポートでは来期に相当する2006年3月期の連結営業利益を今期予想比21.3%増の3700億円と試算し、「携帯電話事業の不振は続くと考えるが、プラズマテレビやDVD関連の収益拡大で吸収できよう。一方でデバイス関連は、デジカメなどAV機器の調整は2006年3月期の上期で終了し、それ以降回復に転じると考える」などと指摘している。
松下電器は短期的な事業展開についても中期経営計画の「躍進21計画」の最終年度である2007年3月期での売上高に対する営業利益率5%達成に向け、構造改革を着実に進めており、これが市場の高い評価につながっている。当初今期は、800億円分の構造改革費用を想定していたが、今回新たに1400億円に積み増す方針を打ち出している。構造改革を前倒しすることで将来的な収益体質の強化につなげるという発想が見てとれる。
同業他社と同様に携帯電話やCCDを中心とする半導体価格の下落による採算の悪化は避けられないものの、PDP(プラズマディスプレイパネル)やDVD関連ではその商品力の確かさと信頼性により、価格競争力の強さを発揮して順調に利益を拡大させていくものと予想される。(超眼)
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