円安がアップル製品を直撃し始めた。このままでは、この秋にiPhone14(仮)が発売されても、なかなか手が届かない可能性が出てきた。
先週、アップルの開発者向けイベント「WWDC22」を取材にクパチーノに行ってきた。現地取材は実に3年ぶりのことである。
開催前日にランチを食べようとサンノゼの街を歩いたら、馴染みのレストランがかなり閉店していた。コロナ禍で経営が立ちゆかなくなってしまったのだろう。
ふらりと入ったレストランでハンバーガーとビールを頼み、チップを入れて35ドルで会計した。後日、クレジットカード会社のアプリで確認したところ、4800円という請求になっていた。1ドル135.125円という換算レートだったので無理もない。
アップルはWWDCで、自社開発チップ「M2」を発表。最初の搭載デバイスとして「MacBook Air」を発表し、7月に発売する。これにあわせるかたちで、既存の製品ラインナップの価格改定を行っている。
米国での販売価格には変更はないが、日本ではM1チップ搭載のMacBook Airが11万5280円から13万4800円(税込、いずれもアップルオンラインストア)に値上げされている。税別の本体価格は、従来は1ドル105円だったものが、今回は1ドル123円で計算されているようだ。6月13日現在の為替レートは134円となっている。引き続き、円安基調が続けば、今後、さらに価格改定される可能性もあるだろう。
円安基調に加えてウクライナ問題、さらにコロナ禍による中国のロックダウンなどの影響で、物流が混乱したことで、国内の中古端末市場に異変が起きている。
例えば、大手中古スマホ販売店オンラインストアでは「iPhone 13 256GB グリーン」の未使用品が10万7980円で売られている。アップルストアでは同じモデルの新品が11万800円にも関わらずだ。新品と未使用品がわずか2820円の差しかない。この価格差であれば新品を買うような気もするが、アップルストアの店頭に同じモデルの在庫はなく、すぐには購入できない。オンラインでも10日ほど待たないと届かない状態だ。
世界的にiPhoneが品不足となるなか、購買意欲の強い中国市場に日本のiPhoneが大量に輸出されている可能性が高い。品不足になれば、それだけ中古端末の買い取り価格は上昇し、結果として中古品でも値段は高くなる。日本のユーザーがiPhoneを買おうと思ってもなかなか買えず、割安な中古品を選ぼうと思っても予想以上に高いということが起き始めている。
また、キャリアがiPhoneに高額な割引をつけて売ろうとしても、「転売ヤー」が群がり、本当に欲しい人に届かないという状況に陥っている。総務省が端末価格と通信料金の「完全分離」を導入したため、通信契約がなくても割引が適用されたiPhoneを購入できるようになった。結果として転売ヤーが群がったため、ドコモショップなどは「購入時には箱に名前を書く」という保育園のような対処で乗り切ろうとしている状況だ。
キャリアとしては「2年間、使用したら返却する端末購入サポートプログラムでの販売を強化する」といった対策をとっているところもあるようだ。いずれにしても転売ヤーという存在によっても「iPhoneが気軽に買いにくくなる」という状況が広まりつつある。
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