西友、楽天グループ、楽天ペイメント、楽天Edy、楽天カードの5社は3月10日、「楽天ポイント」を軸にしたOnline Merges with Offline(OMO)戦略の新たな協業体制を4月から本格展開すると発表した。
西友が運営する「西友」「リヴィン」「サニー」のスーパーマーケット全店舗で、楽天の決済サービスフルラインアップを利用できる環境を整える。また、デジタルマーケティングを強化し、利用者がオンラインとオフライン(実店舗)の垣根なく、いつでも“お得に便利で楽しく”買い物ができる環境を提供する。新規顧客層を獲得、既存顧客を活性化させ、西友が日本を代表するOMOリテーラーになることを目指すという。
具体的な取り組みは4つ。1つ目は、4月1日からオリジナルデザインのクレジットカード「楽天カード 西友デザイン」の発行を開始する。オリジナルデザインでの楽天クレジットカード発行は、スーパーマーケット業界では初の取り組みになるという。2つ目は、4月5日から、楽天カードに付帯する電子マネー「楽天Edy」が全店舗で利用可能になる。
3つ目は、4月26日から「楽天西友ネットスーパー」アプリに店舗で使える機能を追加し、「楽天西友アプリ」として提供を開始する。共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」、スマホ決済サービス「楽天ペイ」の各機能を楽天西友ネットスーパーアプリで統合的に提供し、ネットスーパーでも店舗でも使えるアプリへ進化させるという。
4つ目は、全店舗で楽天ポイントカードの利用を開始する。2020年12月に導入した楽天ペイに加え、楽天Edy、楽天ポイントカードのデータも収集、分析できる基盤として整理。オンラインとオフラインのデータを統合し、一貫性のあるパーソナライズされたコミュニケーション、プロモーションを利用者に提供する。
西友と楽天グループは、2018年10月から楽天西友ネットスーパーの協働運営を本格的に開始。全店舗への楽天ペイ導入のほか、2021年11月には来店でポイントがもらえる「楽天チェック」を、2019年4月にはレシート画像を送付するとポイントがもらえる「Rakuten Pasha」を導入し、オンラインとオフラインの垣根を越えるサービス提供において連携を深めてきた。
楽天グループ 代表取締役会長兼社長 最高執行役員を務める三木谷浩史氏は、「日本でなかなか進まなかったデジタル化だが、コロナ禍によりあらゆる業界で加速している。スーパーマーケット業界においてもDX変革が求められる、大きな転換期にさしかかっている」と語りつつ、食品EC化率の比較を紹介。17.9%がEC化している世界と比較して日本の食品、飲料、酒類のEC化率は3.3%に留まっており、拡大前夜状態にあると表現した。
一方、西友 代表取締役社長を務める大久保恒夫氏は、2018年から楽天と共同で進める楽天西友ネットスーパー事業の好調をアピール。「店舗出荷型」の124店舗と、4拠点の物流センターを活用する「倉庫出荷型」のハイブリッドで展開しており、2021年の流通総額は前年比26%増、うち物流センターからの出荷流通総額は79%増と拡大傾向にあるとともに、店舗型のうち黒字化を達成した店舗も多いという。
「2025年に目指していた楽天西友ネットスーパーの流通総額1000億円は、2024年に前倒しで達成できる見込みだが、これからのネット化へ対応すべく、オンラインとオフラインが融合するネットスーパーに加え、デジタルマーケティングが非常に重要になる」と、楽天ポイントや「楽天ID」を通した「楽天経済圏」への期待を示す。
両社は、4月からの協業体制の本格展開により、西友が日本で最大規模の楽天ポイントが使える、貯まるスーパーマーケットとなることを目指す。
本格展開を記念してキャンペーンも開催する。4月26日~5月8日の期間、楽天ポイントカードを店頭で提示すると通常の5倍の楽天ポイントを進呈するという。また、楽天カードや楽天Edyの利用で楽天ポイントの進呈率がアップするキャンペーンも4月から順次実施する。そのほか、楽天ポイントカードの提示で通常の2倍の楽天ポイントを進呈する「楽天ポイント2倍デー」を5月以降に設ける。利用者が西友でお得に買い物ができる施策を継続的に実施するとしている。
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