2021年は、仮想通貨やデジタル通貨に対する各国の取り組みを揺るがすような予想外の出来事がいくつか起き、仮想通貨分野にとって重大な1年だった。最新の仮想通貨ランキングから、仮想通貨の導入で世界をリードしているのがどの国なのかがわかる。
アイルランドの新興フィンテック企業Coincubは、2021年第4四半期の「Global Crypto Ranking」(世界仮想通貨ランキング)を発表した。
このランキングは、政府の政策や金融分野における普及、税法、規制、法的要件のような社会的要因に加え、仮想通貨の保有高やビットコイン専用ATMの数、支出の機会といった量的データに基づいている。
こうした基準は、政府による積極的な法制化や、大手銀行による保管サービスの提供意欲を重視しているとみられる。これら2つの要因は、因習にとらわれがちな組織がその国内で仮想通貨を受け入れていることを示す。
ランキングでは、金融機関による受け入れ、取引所やウォレットの有無、政府の規制、分散型金融(DeFi)の普及、金融サービス、透明性、仮想通貨の利用、仮想通貨をめぐる銀行の動きという8項目について採点し、その平均値で順位付けしている。
中米のエルサルバドルは、Coincubが9月に発表したランキングでは圏外だったが、ビットコインを法定通貨の1つに採用する法案を6月に可決した。同国は、確立された経済圏が二の足を踏むこの未知の領域に踏み込んだことにより、今回のランキングで9位に入った。
3カ月前のランキングと最新のランキングを比較すると、仮想通貨の変動性やデジタル通貨に対する各国の消極姿勢が順位の変化に表れている。
今回のランキングでは、シンガポールが3位から1位になり、オーストラリアは6位から2位に上がった。日本は12位から10位に浮上した。
シンガポールは、活況を呈する仮想通貨経済や、建設的な規制、仮想通貨の保有率が人口比率で世界第2位といった要因により、首位を獲得した。同国には政府の明確な戦略と規制があり、仮想通貨に慎重な投資家に安心感をもたらしている。
ランキング3位につけたのは1820のビットコインノードと2万5956個の仮想通貨ATM、唯一の上場済み仮想通貨取引所(Coinbase)を有する米国だ。米国は仮想通貨の規制に関して不透明な状況にあり、これによりランキングトップの座を譲ることとなった。
中国は仮想通貨に関するすべての取引を禁止して仮想通貨への関与を公式に終了しており、世界で最も多産なビットコインマイニング国家という地位を放棄している。同国はランキング最下位となっており、ロシアが下から2番目に位置している。
Coincubの最高経営責任者(CEO)であるSergiu Hamsa氏は以下のように述べている。「仮想通貨経済では、出来事が驚異的な速度で進行している。ここ数カ月でも、ビットコインが高値を更新し、世界中で新たな需要を生み出した。エルサルバドルはビットコインを法定通貨と宣言し、中国は完全に禁止した」
キャッシュレス社会とみなされている6位のスウェーデンは、中央銀行によるデジタル通貨システム「eクローナ」を実験中だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」