おかげさまで、ビジネス書を中心にブックレビューを書かせていただくようになってから、なんと10年が経過した。毎週1冊というのは少ないようだが、10年も経つとそれなりの冊数になる。10年間に紹介した本のリストを見直してみると、「今の自分が普通にやっていることだ」と思えることも、実際にはこれらの本からの影響が大きかったのだなと思えることがたくさんあった。そこで今回は、10年の間に紹介した本の中から、今でも入手可能で、流行に左右されず、自分を助けてくれる力になった本を5冊、改めて紹介したい。
本書の著者と自分とでは、仕事の内容はおろか会社での立場などもまったく異なるが、「目標を設定し、優先順位をつける」際のやり方や、自分の仕事や生き方において最優先だと思っていることに気づくための手法などがとても理にかなっているため、本書を読んでからは、常にこのことを念頭に置いていた気がする。また、長年一人で仕事をしきた中で忘れてしまっていた組織内での働き方、上司との付き合い方なども、会社という組織内で働くことを再開してから、非常に役立っている。
さらには、個人のスキルとして重要な「読み方」「書き方」についても、仕事上必要となる能力としての視点から、的確なアドバイスが簡潔にまとめられており、総合的な「仕事術」の本として優れているのだ。ある程度の期間働いてきた人が、今後の自分のキャリアを考えたときに読むのにもお勧めだ。
「タスクシュート時間術」というタイトルの通り、「タスクシュート」というツールを使うことが前提ではあるが、今の自分の仕事はタスクシュートなしには進まないほど、毎日絶対に使っている。現在はExcel、クラウド、iPhoneの3種類のプラットフォームで利用できる。
1日を細かい「セクション」に分けてタスクを振り分ける時間の使い方とタスクの進め方、すべてのタスクを「ルーチン」にするという考え方、チェックリストや「レシピ」を作るという手法など、仕事を円滑に確実にこなして締め切りまでに仕上げるというミッションを、さまざまな切り口からサポートしてくれるのだ。実際には本書が出版される前からタスクシュートを利用しているが、本書によって、考え方が整理されて、1日の使い方が大きく変わった。
この「毎日の英文法」のほかに「毎日の英単語」「毎日の英速読」がある人気シリーズの第1弾。英文法のおさらいをしつつ、その文法事項に基づいた簡単な英文を毎日練習する。理解があいまいだった助動詞mayとmightの使い方、日本人には使い分けが難しく感じる時制、空間の捉え方を表す前置詞の違いなどを一気に復習できる上、パターンを耳と口から体に刷り込むという趣旨の本。
コンパクトな本だが、英文だけが羅列されているような本と違い、しっかりとした文法の解説があり、しかも「そういうことか!」と分かりやすい。当初、紙で本書を購入したが、その後Kindle版も購入して、折りに触れて読み返す辞書のように使っている。
英語学習書の後に「英語より大切な」とタイトルにある本を紹介するのはどうかと思うが、決算を読めるようになることは、決して経営者や投資家などだけにとって重要なことではないということに気づかせてくれたのが本書だ。フリーランスとして10年近く青色申告をしているので、毎年決算書を作成しなくてはならないのだが、正直、各項目や数字が何を表しているのかは、あまりよく分かっていなかった。もちろん、企業の決算と個人事業主のそれとでは内容がかなり違うが、基本的な考え方は変わらない。
また、決算は、今後自分が転職したり、取引先を増やしたりする際にも重要な要素を見極める材料になりうるということで、「自分ごと」として決算を読めるようになることの重要性を知れたのは大きい。
「子どもの」とあるが、大人も真似したいのがこの「ふせんノート」を使った勉強方法だ。子ども向けにまとめられているので、国語、算数、理科、社会、英語それぞれの教科についてふせんを使った学習法が細かく提案されているが、どの教科でも共通するふせんノートの作り方や勉強方法は、大人が英語やそれ以外の言語を学習したり、資格試験のための勉強をしたりする際にも役立つ。現に筆者は、英語以外の言語の勉強に取り入れて、無事に直近の検定試験に合格できた。
また、ふせんを、学習だけでなくスケジュール管理、アイデア出し、自分の夢や目標の確認といったことに使うということにまで触れられており、これは大人でもそのまま取り入れられる。パソコンやスマホなどがない環境でも使えるというのが助かるのだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス