サイバーエージェントは自社メディア「Ameba」をPC、携帯電話、スマートフォンの各デバイスで同時に展開している。携帯電話向けサービス「Amebaモバイル」では特にソーシャルゲームが人気で、ユーザーへの課金収入が大きな売上をもたらしている。
Amebaモバイルはどういうサイトかというと、オープン化以前のモバゲータウンやGREEに近い。ブログをはじめとしたコミュニティ機能の近くに、気軽にプレイできるソーシャルゲームを置き、アイテム課金で収益をあげるモデルだ。すべてのゲームを自社グループで開発している。
現在のところ、Amebaというプラットフォームをオープン化し、外部のプロバイダを招き入れることは考えていないという。サイバーエージェントとグループ会社のソーシャルアプリケーションプロバイダーでゲームの企画、開発ノウハウを蓄積し、一定の質を保つためだ。
現在、すき間時間に遊べるカジュアルゲームを中心に、サイバーエージェントとグループ会社から計13本のゲームを提供している。だが、人気が高まらないゲームは撤退することがグループ内のルールで決められている。
サイバーエージェントグループには「CAJJプログラム」という制度がある。グループ内の全事業を売上高、売上総利益などの数値をもとに3つのステージに分け、一定期間内に基準を上回らない事業は撤退や売却が検討されるという厳しい仕組みだ。モバイルゲームも同じように1つの事業と見なされている。会員数や売上高などの目標を達成できなければ、次のゲームにリソースを割き、新たなチャンスを探る。
ユーザー数が一番多いのはブーシュカで、会員数は約130万人。月間利用者数は約50万人。モーニング娘。やAKB48といった芸能人も利用しているという。芸能人がブログを投稿するためにAmebaのトップページを訪れると、そこでゲームコンテンツも目に入る。Amebaモバイルからゲームに誘導できる仕組みだ。
ゲームのユーザー層は女性が7割、男性が3割となっている。Amebaモバイル全体でもほぼ同じ構成だ。年齢もあわせると20代女性が一番多いという。最近は男性向けゲームにも力を入れている。モンスターを育成して戦わせる「GYAOS」というゲームは男性ユーザーが6割を占める。1月にはテレビ朝日と共同でプロレスのゲーム「俺達のプロレス」をリリースした。本物のプロレスラーをイメージしたキャラクターが出てくるなど、いままでのAmebaにはないクリエイティブを実現したという。
これらのゲームはすべて課金で収益を上げるモデルだ。基本料金は無料だが、アバターの着せ替えアイテムなどで課金する。そのほかに特徴的なのは既存ゲームとの連携。「わくわくメダル広場」と「モグ」は、ゲームを遊ぶとアメーバピグのアイテムがもらえるという仕組みになっている。
Amebaモバイルで消費される仮想通貨「アメゴールド」の額は急増している。2010年11月には1億7300万円だったが、1カ月後の12月には2億2700万円まで伸びた。これはアメゴールドを1円以上利用しているユーザーの利用単価(ARPU)が向上しているためだ。11月のARPUは1101円だったが、12月は1429円となった。サイバーエージェントはどうやってモバイルゲームを収益化しているのだろうか。Amebaモバイルゲームディビジョンのゼネラルマネージャー、大辻純平氏に聞いた。
--ゲーム1本当たりの月間売上高は。
大辻氏:数千万円規模。リリースするとほとんどのタイトルが3000万~5000万円くらいは売り上げる。1000万円台に乗らないものは撤退する。
--なぜ安定してヒットするのか。
大辻氏:ノウハウがたまっているから。もちろんすべてがヒットすることを目指すが、4分の1くらいコケるのは仕方がない。社内では4分の3くらいは当てようと言っている。ここ半年は初めてゲームを作ったメンバーが多いが、徐々に当たる確率を上げていく。
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