満を持して、Amazon kindleの日本上陸となる…。
これにはもう大歓迎だ。むしろ遅すぎたくらいだ! 角川グループとの提携から、どこまで派生したのだろうか?「売上の55%はamazon」「価格は書籍よりも安価」いろんな制約も噂されてきた。何よりも、再販制度によって守られてきた日本の書店流通の「正価主義」がゆらぐことは容易に想像できる。それでいいのだ。
いや、むしろamazon向けの新パッケージの登場に期待したい。自著も電子書籍化し販売しているが、書籍の初見は紙に勝るものはない。電子書籍の問題は「ページ」の概念にあると思う。PCがいまだにデスクトップ(机上)のアナロジーによって標榜されるのと同様に、電子書籍は紙の本のメタファーを500年前のまま引きずっているままだからだ。
紙の本の、「次」にいくためにはヨコ書きならば、右を押さなければならない…というルールを破壊したのがamazon kindleだった。「次ボタン」は右と左についた。縦書きの電子書籍リーダーの大半は左に次へがやってくる。左手で持っていると、本を横切って左を押さなければならない。それが本を捲(めく)るというメタファーだからだ。電子書籍であれば右押しでもよかったはずだ。
さらにいうならば、頁(ページ)という概念こそが古臭い。
なぜ、ページで区切る必要があるのだ? 電子書籍なのだから、リーダーの読める時間に応じて、自動でページが遷移してもいいはずだ。 30分読書するとか、読書の時間をアラームでセットしたり、風呂で防水で読めてもいいはずだ。
むしろ、ページではなく、巻物のように、シームレスで読めるべきだ。なぜ、電子書籍をパラパラとページを捲るのだろうか? それはもう面倒くさい。 ビデオデッキやハードディスクレコーダーのように巻物プラットフォームだったら、早送りを長押しすれば、パラパラパラとザッピングができる。この機能がない限り、紙の一覧制に慣れた我々の目に、電子書籍は魅力的に映らない。
もっと言うならば、「電子」と名がついている以上、本物ではない。
「電子メール」にしても「電子ピアノ」、「エレキギター」、すべて電子やエレキという文字は存在しない。電子書籍が「書籍」と呼ばれ、紙の本は「アコースティックブック」と呼ばれるまでにはまだまだ相当な時間がかかりそうだ。
そのためには、amazonショックを全世界に与えないと、我々はグーテンベルグ時代からいつまでたっても卒業できない。
2012-06-26 19:52:11