Steve Jobs に対する賛辞は尽きないでしょう。Innovator という言葉は、まず彼のためにあると思います。
最大の功績は、Steve Jobs という生き方を歴史に刻み込んだということです。このような生き方が人間にはあるんだという歴史的事例を身を持って示したということです。
Jobs が引退することは Apple にとっては痛手でしょうが、その革新的スピリットが Apple に受け継がれている限りは、当面の心配はないでしょう。
日銭を稼ぐだけの労働者やリスクを避けがちのサラリーマン(死語?)とは対極をなす生き方を彼は常に実践してきました。その生き方、考え方を端的に表す例を紹介したいと思います。
Jobs はこれから管理職(Vice President)になる人たちに、「労働者」と「経営陣」との違いをこのように毎度説いていたといいます。
Jobs がオフィスの彼のゴミ箱が定期的に空にされてないことに気付き、掃除夫に理由を聞いた。するとこういう言い訳が返ってきた。「鍵が変わり、その鍵を持っていないからだ。」
これはゴミ箱を空にして生計を立てている者であれば、そんな言い訳も許される。掃除夫であれば、問題が起こった後にその言い訳を言って許してもらえる。「もし君たちが掃除夫であれば...」と Jobs は強調する。
掃除夫と CEO との間には、理由が通用しない一線がある。VP になった君たちは、そのルビコン川を越えたと考えてくれ。
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誰も先導者のいない未開の地に、自分の力を振り絞って何とか突入したい。上記の例に代表されるように Jobs の姿勢にはそのような強大なフロンティア・スピリットを常に感じてしまいます。もしかするとリスク・マネジメントに失敗して、単なる夢想家に終わっていた可能性もあるのかもしれませんが、現時点でプロセスと実績の両面を見ると、彼の生き方、存在自体は世界のビジネス・ヒストリーの1ページに必ずや加わる筈です。
毎日が全力疾走だったことだろうと思います。これからはどうぞ少し休んで、自分をいたわって欲しいと切に願います。
2011-08-25 23:52:36