11月18日に東京都内で開催された検索サービスに関するイベント「CNET Japan Innovation Conference(CJIC)2005 Autumn」では、米Ask Jeevesプロダクトマネージメント バイスプレジデントのDaniel Read氏が登場。今後の検索サービスの課題について米国での最新事例を紹介しながら指摘するとともに、Web 2.0の時代に検索サービスがどのように変容していくのかを語った。
注目される専門検索については、トラフィック量が少ないのが現時点での課題だという |
講演ではまず、市場とユーザーのトレンドについて、世界的に検索の件数が急速に伸びていることが指摘された。Goldman Sachsの予測では、2009年には検索の量は現在の2倍にあたる6070億件になるという。現在でも検索サービスはユーザーが行うさまざまなウェブアクティビティの中でメールと並んで1位の座にある。これは業界、企業にとって大きなチャンスとなる。
そしてこれからの検索サービスが最も重視すべきは、ユーザーのニーズがどこにあるのかという点だ。「現在、20%以上のユーザーは、検索していくうちにどこからどうやってそこにたどり着いたのかわからなくなるというフラストレーションを感じている。しかも、検索結果はユーザーが最初のキーワードをどう設定するかが重要な条件となっている」
さまざまなアプリケーションが登場する中、ユーザーが自分の欲しい結果を簡単に得るためには、キーワードと検索結果の関連性が重要なのだとRead氏は述べている。現在では、検索結果が出たあとには、ユーザーがそれを選別して整理していかなければならない。しかもデータが増えているせいで、検索が複雑になっていることを指摘した。
先の米Microsoft社のDerrick Connell氏の講演でも語られたが(関連記事)、Read氏もまた、ユーザーの検索のしかたについての事例を紹介しながら、ユーザーインターフェースは簡単で使いやすくなければならないと述べ、関連性を常に維持していなければならないことを強調していた。
講演では、Web 2.0時代の検索のあり方も語られた。Web 2.0はまだきちんとした定義がなされていないが、Web 2.0の構成要素である、AJAX(Asynchronous JavaScript + XML)などの革新的なユーザーインターフェースやCGM(Consumer Generated Media)によるデータ量の増加、タグ付けなどによるメタデータの増大などが検索に大きな影響を与えるとした。
また、APIやSDKが公開されることでさまざまなテクノロジーが混ぜ合わさり、全く新しい形になる点に注意する必要があるという。「ユーザーがもっと力を持てるような環境を提供していかなければならない。そのためには、これまでの技術を組み合わせ、より利便性の高いものにしていくことが必要なのです」
このほか、検索をベースにした広告モデルや画像検索などの専門検索市場が登場していることもWeb 2.0時代の特徴の1つだとした。
このようにウェブの形が変わっていく中で、Ask Jeevesはどのようなサービスを展開していくのだろうか。Read氏はまずユーザーが満足する検索結果を得られるように、検索結果から更に絞り込みができるような関連するトピックを提供できる「ZOOM」や、「バブルガムを発明した人はだれ?」といったように、自然文で質問を入力できる「Web Answers」というAsk Jeevesならではの技術を紹介した。
このほか、「My Ask」というサービスは、検索結果を保存し、ユーザーがインターフェースをコントロールすることを可能にする。「このMy Askを活用すれば、検索結果をあとで見ることができ、他のユーザーとも共有できる。これによってユーザー同士のコラボレーションを深めることが可能になる」とRead氏は次世代の検索のありかたを提言した。
しかし、次世代の検索はまだほんの入口に立ったに過ぎず、Web 2.0も定義は確立していない。Read氏は、現状の検索サービスを1950年代のテレビにたとえていた。「楽しむ、満足するという点では、まだまだ白黒テレビのレベルだ。検索サービスは、これからどんどん進歩していけるものだ」
最後にAsk Jeevesの今後の活動について、「現状として、市場の中では大手に負けているかもしれない。しかし、これからも革新を続け、ユーザーを満足させるものを提供していきたい」と意欲的な姿勢を示し、締めの言葉とした。
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