続いては、リニューアル後の「famima.com」に関する話題が中心となった。どのような変化を遂げ、どれほどの効果があったのかに注目したい。
西村:以前はトップページのパーソナライズを手作業で行われていたそうですね?
平瀬:そうなんです。スタッフたちがすごく真面目で、"これをぜひお勧めしたい"という熱意が伝わってきました。これは当然ながらかなりの工数がかかっていましたが、結果は見合うものではありませんでした。なので、少々冷酷ですがレコメンドツールの導入を決めたんです。今ではまったく手間がかからず、その分のリソースを別の作業に回せるので助かっています。
西村:リニューアル前と比べて、トップページの構造もまったく変わりましたよね。
平瀬:おかげさまでトップページをパーソナライズし、お客様の見たい商品が上に表示されるような順位のレコメンドが実現しました。食品やエンタメ、アニメなど数多くのカテゴリからそれぞれよく見るものを表示するのはもちろん、商品だけでなく特集などのページも丸ごとレコメンド対象に含まれています。
西村:ファミマ・ドット・コム様の場合は特集バナーの数が多いので、これらバナーも含めてパーソナライズしたのはかなり効果的だったと思います。あとはやはり、お客様ごとにWebサイト全体が動的に変化するというのが特徴的ですね。海外ではアルゴリズムを用いてウェブサイト全体をパーソナライズするケースが増えてきていますが、日本では弊社が手掛けた事例でも、レコメンドタイプをページに数か所いれる場合がほとんどです。御社のような形で行われているケースは、日本ではまだほとんど見られず、弊社としても初めてです。これはお客様の利便性向上とロイヤリティの構築に有用な、実に先見性のある作りだと思います。
平瀬:こうした作りが上手くいっているのも「アイジェント」のおかげです。アイジェントでは、個別ユーザーの商品へ行き着くまでに辿った経路を個別ユーザーごとに分析するため、各ユーザーにあった商品がレコメンドされる技術をもっているとお聞きしました。本当のパーソナライズが可能なのだなと、思わず"なるほどな"と感心しました。
西村:本当にその人の好みにマッチしたものを表示できるのは、ECサイトにとって大きなメリットにつながりますね。通常ですと、ある商品と一番多く併買された商品がレコメンド商品として計算されるため、同一商品を見ている人には区別なく同じ商品がレコメンドされます。アイジェント・レコメンダーでは、今同じ商品を見ていても、それぞれの人に個別にマッチした商品をリアルタイムに提示できます。つまり、お客様の「今」の行動に最適な対応ができています。
平瀬:そのおかげで売れ行きが大きく変わりましたし、レコメンドの利用率も順調に伸びています。でも私が一番驚いたのは、レコメンドを入れたトップページの直帰率が大幅に低減したことです。この場では具体的な数字こそ出せませんが、信じられないほどの効果が出ています。
西村:現在もいくつかの改善案が進行中ですが、そのほかに将来的な取り組みとして弊社に期待されることはありますか?
平瀬:レコメンドメールやリターゲティング広告など、様々なシーンでシルバーエッグさんのレコメンド技術を利用させていただければと思っています。ユーザー行動が実店舗やスマホ、ウェブを横断するようになってきており、そのようなさまざまなシーンで各顧客にあった提案(おもてなし)ができるようなレコメンドを開発していただくとさらに素晴らしいと思います。
西村:これからは、リアル店舗へ行ってから商品をスマートフォンで調べる、逆に調べてから店舗へ行くなど、消費者の行動パターンが昔より複雑になります。行動データがサイロ化されていては使えないので、トラッキングの精度を上げると同時に、それをどうやってひとつに集められるかが重要です。また、そういう意味ではスマートフォンとリアル店舗でのユーザー行動をどのように正確にトラッキングできるかが大変重要になってきます。弊社でも準備は進めています。おそらくご希望にかなう結果が出せると思いますよ。
平瀬:そうした言葉がもらえると心強いですね。御社の場合、メインとなるレコメンド関連はもちろんですが、それ以外の部分でも相談に応じてもらえるのがありがたいです。課題や疑問が生じた時に"とりあえず相談できる"というパートナーがいると、難易度が高くても積極的に挑戦できます。
西村:ファミマ・ドット・コム様は先見性のある取り組みをされているので、弊社としても非常にやりがいがあります。これからも次々と新しいことにチャレンジしていきたいですね。ご期待に応えられるよう、今後も技術とサービスのプロとしてより多くのことを学んでいきます。
平瀬:こちらこそぜひ宜しくお願いします。
レコメンドツールの導入により、リアルとネットの融合を見据えた、お客様とのロイヤリティ構築を重視したECサイトへと生まれ変わった「famima.com」。シルバーエッグ・テクノロジーとの強力なタッグで、今後もECサイトの新たな可能性を追求し続けてくれるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する