さらに、チームのスキル向上のためには、「5.組織における早い段階での成功体験の共有」が欠かせない。「単にレポーティングを行うだけでなく、実際の行動を起こしてポジティブなフィードバックが得られれば、チームのやる気に弾みがつきます。そして、その盛り上がりは他事業部にも伝染していくのです」とダイクス氏は説明する。
すなわち、近くて小さい頂上をひとつずつ制覇していくことが、最終的な高い目標の攻略への近道なのである。ダイクス氏はこれを「Quick Win(早期成功体験)」と表現する。
最後に挙がったのが、「6.効果測定活動の検証と実証」と「7.責任の明確化」のふたつである。データ検証が必要な理由を、ダイクス氏は要点を挙げて解説した。すなわち「必要なビジネス要件は満たされているか」と「データが正確に取得できているか」だ。正しい次の一手を打ち出すには、レポートばかりが積み重なっても何も見えてこない。すなわち検証が必要となってくる。また、責任の所在を明確にして、検証と実証のサイクルを構築することが重要だ。
ダイクス氏は、担当者の報酬にはKPIを組み込むべきであると主張する。ビジネスゴールとそれを測るためのKPIを設定することは、個人の目的や責任を明確化し、モチベーションを引き出すことにもつながるのである。
こうした7つのポイントは、大型プロジェクトを成功させるために必須のものであり、ウェブ解析に限った話ではないかもしれない。ウェブ解析は、もはやマーケティング活動の一環ではなく、事業戦略を左右する最優先課題として扱わなければならないということなのである。
ダイクス氏は「データに基づく意思決定こそが成功する会社を作ります。責任の明確化が大切なのは、責任には適応力と変化を推進させる効果があるからです」と話す。自社のウェブ解析の取り組みが、なぜ成果に結びつかないのかと自問する経営者は、これらの『ガバナンス』を考え直してみると良いだろう。
会場の様子
ウェブ解析は導入すれば終わりではありません。解析で得た数値をどのようにしてビジネスに活かしていくか、組織としての運用ノウハウが試されます。KPIの設定といった重要課題から、ウェブ2.0、RIAへの対応など一歩進んだ可能性まで、オムニチュア株式会社のベストプラクティスコンサルタントである大山忍氏がウェブ解析の全貌を解き明かします。