ディー・エヌ・エーはなぜ勝ち続けるのか――知られざる“テクノロジー”企業の姿(後編)
ディー・エヌ・エーはなぜ勝ち続けるのか――知られざる“テクノロジー”企業の姿(後編)
CNET Japan Ad Special、文・青山祐輔 写真・津島隆雄
前編ではディー・エヌ・エーの事業の立ち上げスタイルについて見てきた。モバゲータウンに代表されるモバイル主体のエンターテイメント事業からは一見、想起しづらいエンジニアを中心とした企業だということが経営陣の言葉から見て取れた。それでは、現場にいるエンジニアはどういった姿勢で企業の成長に貢献しているのだろうか。後編では、モバゲータウンにかかわる3名のエンジニアたちの生の声を通じて、ディー・エヌ・エーの姿を解明してみたい。
“Not・シスの人”“サービスマインド”がエンジニアのキーワード
ポータル事業本部システム部はモバゲータウンのサービスにかかわるすべてのエンジニアが集まる部署だ。それを部長の武部雄一氏がすべてまとめている。
システム部に所属するエンジニアは、パートナー会社のメンバーも含めると70名ほどだ。それがアバター、コミュニティ、ゲームという3つのグループに分かれて業務を行なっており、それぞれのグループごとにグループリーダーがいる。この体制になったのは2009年10月の組織変更によるものだ。組織を変えた理由のひとつは、「人の流動性を高める」(取締役の守安功氏)があるが、もうひとつ大きな理由としてエンジニアを育てるという目的があった。
「以前はひとつのユニットで僕がすべて見ていましたが、人数が多くなってくると難しくなってくる。メンバーとのコミュニケーションが少なくなってきてしまっていた。そこで、3つのグループに分けてそのグループの中にグループリーダーを置いてメンバーに目が届くようにしました。」(武部氏)
それぞれのリーダーがグループのメンバーに声を掛けていくことで、武部氏の目が届かないところをカバーする。
「育成のためにエンジニアにはその時点の実力よりも少し上の目標を与えるようにしています。はじめは『できません』っていうエンジニアもいるけど、だからこそ『じゃあ、やろうよ』と。少しでも上の目標を目指さないとエンジニアは育ちません。」(武部氏)
かといって、目標を与えっぱなしですべてのエンジニアが育つわけではない。メンバーに対してコミュニケーションを取って行き、難しい課題に対してはアドバイスやサポートが必要だ。それを行うための組織変更だった。では、武部氏がエンジニアに求めているものとはなんだろうか。
「僕はいつも“Not・シスの人”と言ってるんです。以前に企画部門の人に“シスの人”と言われたことがあったんです。」(武部氏)
“シスの人”とは「システム部門の人」という意味で、その企画部門の人物はネガティブな意味で使った訳ではなかった。だが、そういう「レッテル付け」した呼び方をされるということの裏には「無愛想」「難しい言葉をつかう」「怖い」「技術偏重」「ユーザー軽視」といったエンジニアに対してのステレオタイプなイメージがあることは否めない。そのようなエンジニアになるなという意味で“Not・シスの人”なのだ。
ほかにも武部氏がエンジニア求めているのが「サービスマインド」だ。ディー・エヌ・エーのサービス、なかでもモバゲータウンが提供するサービスはすべてユーザーが利用するものだ。そのユーザーとの接点であるサービスを作るエンジニアが、そのことを意識しないことは大きな問題だ。
「このことを徹底してエンジニアに浸透させるために、2009年の夏に“サービスマインド”をシステム部のテーマにしました。ミーティングでも『サービスマインドを意識してる?』と詰められたり、チーム内で『それってNot・シスの人になってるか?』と指摘しあったりしていました。」(武部氏)
サービスを作るエンジニアとそのエンジニアを育成する組織作り。ディー・エヌ・エーではエンジニアの評価を技術力だけでは評価していないそうだが、同社のパワーの一端はサービス指向のエンジニアの存在にありそうだ。
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