12月8日昼、ネット関連株に激震が走った。モバイル向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)に、公正取引委員会が独占禁止法違反の容疑で立ち入り検査したことが明らかになった。DeNA株は同日午後の取引で急落。午前11時の前場取引終了時点で前日比32円高(1.2%高)の2732円だった株価は後場には同297円安(11.0%安)の2403円まで一気に下げた。値下がり率は東証1部市場の値下がり率5位となり、売買代金は時価総額11兆円のトヨタ自動車や同3兆円のソフトバンクを上回りトップとなった。
DeNAはゲーム提供会社に対し、ライバル社にゲームを提供しないよう圧力をかけた疑いがある。夏ごろから「モバゲータウン」向けに契約したり、契約を検討している複数のゲーム開発業者に対し、ライバル会社であるグリーとの契約を結ばないよう働きかけたり、自社と契約するよう強要したりした疑いがあるという。
ゲーム提供会社側からそういった内容の話題が出るなど、両社がし烈な“囲い込み競争”を繰り広げていることは業界内やセクターアナリストの間では周知の事実ではあった。そんな中で公正取引委員会の立ち入り検査が明らかになり、売り注文が殺到。ショック安的な値動きとなった。
ただ、株式市場でより注目を集めたのは、今回の事件に関係するとみられる周辺の企業。DeNAの相手として名前の挙がったグリーの株価は対照的。前場取引終了時点で前日比23円高(2.2%高)の1068円だったが、DeNAへの立ち入り検査が報じられた後の後場は同53円高(5.1%高)の1098円でスタートする一段高商状。一時は同65円高(6.2%高)の1110円まで上昇した。
ゲーム提供会社の動向を見ると、当初からDeNAだけにゲームを提供する「くにおくん」シリーズのクルーズが同日後場から買われた一方、双方にゲームを提供するドリコムやジー・モードなどが後場から軟調に推移していた。
なお、「DeNAショック」とまではいかないが、DeNA株の急落を受けて主力ネット株への投資マインドが悪化。サイバーエージェントやミクシィ、スタートトゥデイといった時価総額の大きいネット株が売られたことで、マザーズ指数もマイナスへ転換。東証1部市場やジャスダックなどほかの株価指数が全面高する12月8日の株式市場で独歩安商状となっていた。
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