米国のトランプ大統領は3月6日に「戦略的ビットコイン備蓄」創設の大統領令に署名した。犯罪捜査や民事訴訟で押収した「ビットコイン」を1か所にまとめ、財務省の管理下に置く。
ホワイトハウスの「暗号資産担当」であるデビッド・サックス氏によれば、現状約20万ビットコインが備蓄に移される見込みだ。
ただし、サックス氏は自らを「暗号資産に大きく投資してきた投資家」と称している。彼自身だけでなく、友人や家族も今回の政策の恩恵を受ける可能性がある。本人はトランプ政権参加前に暗号資産をすべて売却したと主張しているが、ETFのビットワイズ・アセット・マネジメントを通じた間接保有について疑問の声もある。なお、サックス氏は1月22日に同ETFのポジションを手放したと反論している。
今回の大統領令では、ビットコインに加えて「ソラナ」「イーサリアム」「XRP」「カルダノ」などの暗号資産を対象とする「米国デジタル通貨備蓄」も新設される。
ビットコインの備蓄制度は、「米国を暗号資産の首都にする」というトランプ大統領の方針の一環だ。具体的な目的としては、経済不安時、国の債務返済、インフレ対策など具体的な利用場面を想定している。
米国政府は、原則として押収以外の手段で新たな暗号資産を取得しない。もし追加取得する場合も、納税者への負担が増えないよう、商務省や財務省が予算内で戦略を検討する方針だ。
従来の金備蓄は、ドルの安定や世界経済の支え、さらには債務返済やインフレ対策の手段として機能してきた。しかし、ビットコインは価格変動が激しい。たとえば、12月上旬には10万ドルを超えたが、その後8万6970ドルまで下落している。
同備蓄は、政府が犯罪組織などから押収したデジタル資産を集約する仕組みだ。今後、どのように管理・評価されるかが注目される。
今回の政策は、政府の暗号資産への関心を示す一方で、投資リスクを軽減するものではない。暗号資産は元々リスクが高く、価格変動も大きい。各自の投資戦略やリスク許容度に応じた判断が必要だ。
たとえば、ビットコインは2022年12月時点で約1万7000ドルだったが、現在は9万ドルだ。今後も政権の対応や法規制の動向次第で市場は大きく動く可能性がある。今回の施策が中長期的にどのような影響を与えるかは、慎重に検証する必要がある。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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