クレジットカードの利用時における本人確認方法として一般的だった「手書きサイン」が2025年3月末で廃止される。以降はPIN(暗証番号)の入力が原則となる。
この方針は、日本クレジット協会(JCCA)が公表した「クレジットカード・セキュリティガイドライン」に基づくもので、クレジットカード業界全体でのセキュリティ強化を目的としている。
具体的には、カード決済時に店頭での端末操作などで暗証番号の入力をスキップし、サインで本人確認する「PINバイパス」は、2025年3月末をもって原則廃止となる。以降は暗証番号を入力をせず、サインで本人確認する方法は利用できない。
なお、「1万円未満の取引では暗証番号は不要」といった「PINレス」取引と今回の「PINバイパス」は異なる。「PINレス」は今後も引き続き利用できる。
ここで気になるのが、訪日客のクレジットカードの取り扱いだ。米国発行のカードなどはそもそもPINが設定されていない場合も多い。「手書きサイン」が原則廃止となると、そうした訪日客がクレジットカード決済できなくなるとの心配もある。
そこで、店舗向けの決済サービス「Airペイ」を提供するリクルート、および「Square」を提供するSquareの担当者に、4月以降どうなるのかを率直に聞いた。
リクルートの広報担当者は次のように回答した。
「PIN設定がない訪日客などの対応については、今後もサインを記入いただくことで利用可能となります。暗証番号による本人確認ができない種類のカード(海外発行など)での決済や、タッチ決済で本人確認不要金額を超過する決済では、引き続き電子サインの記入を必要とさせて頂き、不正防止観点を鑑みながらご利用頂けるよう対応しております」
また、Squareで日本のプロダクトマーケティング責任者を務める横山潤氏は次のように回答した。
「本人確認の手段としてのPINバイパス(サインで本人確認)の廃止は、PIN認証が組み込まれたカードのみに適用されます。PIN認証が組み込まれたカードをお持ちでない海外のお客様は、サイン(署名)を含む通常の手続きによって、これまで同様に本人確認を行うことができます」
「今回の変更は、日本国内のクレジットカード取引の安全性を高めると同時に、加盟店さまにとっては、お取引の際の体験を改善する機会となり、影響を前向きにとらえています。例えばレストランでは、カードを預からずテーブルでのお支払いを完結することが、多くの国で一般的に行われています。国内の事業者の皆さまも、お客さまがどこにいらしてもお支払いが完了できるように、Squareのような持ち運びのできるハードウェアの使用をご検討されるきっかけになれば幸いです」
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)