太陽光だけで1日64km走れる「充電不要のEV」に試乗してみた:CES 2025

Antuan Goodwin (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年01月09日 09時45分

 CES 2025で、ほぼ充電が不要な電気自動車に試乗する機会を得た。「Aptera Solar EV」は、ソーラーパネルをふんだんに搭載し、動作効率が高いため、メーカーの主張によれば、1日に最大40マイル(約64km)の走行距離を太陽光発電だけで得られる。2025年後半に生産が開始される同EVのプロトタイプに、翼のようなドアをくぐって乗り込んだ。

 最初に目を引くのは、Apteraの最大の特徴であるソーラーパネルだけでなく、その異質なデザインだ。この三輪車は、空力性能と軽量化を極限まで追求して設計で、その形状はボトルノーズドルフィンを彷彿とさせる。長いテーパー状の尾部によって、従来の小型EVと比べて約70%も空気抵抗を削減している。乗員は2名のみだが、後部には約32.5立方フィート(約920リットル)の荷物スペースが確保されている。

 また、車体から独立したホイールポッドには、路面との摩擦を抑えるべく、大きさに比して細いホイールと、低転がり抵抗のタイヤが装備している。車両全体の重量は通常の車両の約半分しかない。さらに、前輪駆動を採用し、150kW(201hp)の電動モーターが三輪車の広い前部に重量を集中させることで、安定性と予測可能な走行特性を実現している。

 車体をよく見ると、カーブしたガラスのボンネット、ルーフ、リアハッチ、ダッシュボードなど、ほぼすべての水平面を独自設計のソーラーパネルが覆っている。計700Wの発電能力があり、南カリフォルニアの理想的な晴天条件下では1日最大40マイル(約64km)の走行が可能だ。もし通勤距離が30マイル程度であれば、充電なしで日常の運転をずっと続けられるだろう。

 もちろん、曇りが多い気候や日照時間が短い地域では発電量が減少するが、Apteraはレベル1、レベル2、DC急速充電にも対応している。フル充電時には最大400マイル(643km)を走れるという。この航続距離をわずか45kWhのバッテリーで実現しているのは驚異的だ。バッテリーが小型なため、通常の家庭用コンセントでも充電可能で、DC急速充電を使用すれば1時間以内でフル充電が可能とされている。

実際に試乗してみた

 ラスベガス市内での試乗では、交通量が多かったため、0-60マイル(0〜97km/h)加速が6秒以下の性能をフルに体感することはできなかったが、スムーズで満足感のある加速を味わえた。

 リア単輪の4リンクサスペンションのおかげで乗り心地も良好だった。ただし、このプロトタイプは内装がなく、前輪タイヤも従来型の太いものが装着されていたため、最終製品の完全な体験とは言えなかった。

 将来的には、より小型のバッテリーを搭載した廉価版や、荷物スペースを増やしたモデルも追加される予定だ。現在、Aptera Motorsは4万ドルのAptera Solar EVの予約を受け付けており、本格的な生産が今年後半に始まる見込みだ。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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