沖縄県がワーケーション事業に注力している。「じゃらんnet」に特集ページを用意するほか、2024年度は沖縄の北部、中部、那覇の3度にわたり、費用の一部を負担するモニターツアーを企画。よりワーケーションしやすい地域となるべくさまざまな施策に取り組んでいる。
沖縄県庁でワーケーション事業に取り組む、沖縄県 文化観光スポーツ部 観光振興課 誘致企画班 主査の安次嶺修氏に、これまでのワーケーションの具体的な取り組み、目指す将来像などを聞いた。
――ワーケーションに取り組む理由、経緯を教えてください。
沖縄県が主体となってワーケーション事業に取り組みだしたのは2021年です。リモートワークの技術が普及し、観光にいった場所でも仕事ができる状況が整ったため、新しい働き方としてワーケーションの考え方が浸透しました。ワーケーションとして滞在する場合、平均滞在日数が観光目的の場合よりも約2日長い傾向があり、長期滞在が見込める新たな観光誘客の切り口として、取り組んでいます。
ワーケーションは、2021年以前は国が率先して取り組む事業でした。当時はホテルにコワーキングスペースを確保して宿泊しながら働ける環境を整えるなど、インフラ面に重点を置いた施策を展開していたようです。ワーケーション目的での来訪を増やすよりも、既に来ていただいている方が働きやすくなることを目指し、沖縄に新しい観光の形を構築する。民間の事業者が施設の構築する際、8割ほどの補助が出ていたと聞いています。
2021年に沖縄県が事業をするようになってからは、国の施策で施設面はある程度整ったため、誘客に注力しています。
――沖縄県に事業の主体が移った2021年以降の施策を教えてください。
2022年までは、沖縄でのワーケーションをテーマにしたセミナーの実施など、情報発信に注力していました。その中で、沖縄でワーケーションをしない理由のひとつとして、飛行機代をはじめとする費用面で課題があることを挙げる意見があり、2023年からモニターツアーを実施しています。われわれが金額面を補助することでワーケーションのハードルが下がり、沖縄独自のワーケーションの良さを体感していただければと思っています。
モニターツアー初年度となる2023年度は、ワーケーションをする企業に向けて金額を一部補助するという形式を取りました。ワーケーションをどこでするか、誰に会うかといった企画の組み立てから実際の運営まで、全てを企業側に行なっていただくものでした。
現在実施している2024年度は、沖縄県側が主体となって6月と11月、そして2025年1月の3回に分けたツアーを企画し、そこに参加してもらうという形式に変更しました。
――既に2回実施した2024年度はいかがでしたか。
北部で実施した1回目は、一言で言えば自然を活用したワーケーションです。沖縄の北部にある世界自然遺産の中にあるコワークスペースを活用しました。仕事で疲れた脳みそや体を自然の中で休めることで鋭気を養い、そのまま自然の中で働ける。森林セラピーを受けた後に仕事できるというものです。
1週間しか集客期間を取れなかったのですが2名に参加いただき、沖縄北部をかなり深く知ってもらえたのではないでしょうか。
中部をテーマとした2回目は、15名に参加していただきました。中でも2日目に実施したワークショップは、意見を聞いていて胸が熱くなりました。
というのも、われわれが日頃からどう解決すべきか悩んでいることと同様の課題意識を持ち、持ち、地域をどう盛り上げるかに対する多様な意見がありました。
――たしかに、観光目的の方が増えると、地域の方に迷惑がかかってしまうこともあります。
1万人に1回来ていただくよりも、100人に100回来ていただいて関係系人口を増やすことを方針に掲げています。地域に愛着を持つ人に来ていただければ、住民の人々にも寄与できるはずです。
また、特に2回目を実施した中部は認知度があまり高くなく、どう向上させるかも課題です。「沖縄は行き尽くした」と言っていただける県外の方によくお会いしますが、中部にあるうるま市、東海岸などの魅力は十分に伝わっていないと感じます。魅力をより伝えるためにはどうすればいいか。そういったわれわれが日頃抱える課題に対する、的を射た提案をいただけたと強く感じました。
――1月に実施した3回目について教えてください。
ビジネス街の那覇で実施した3回目は、2回目同様にコワーキングスペースに集まって参加者で議論するほか、近くにある繁華街で非常に良いナイトコンテンツも体験いただきました。夜のディープな町並みを散策するようなプランです。
――改めて、沖縄でワーケーションする魅力を教えてください。
ワーケーションをすると、生産性が上がる、仕事がはかどる、チームの団結力やエンゲージメントが高まると言われています。沖縄の海、気候、風土は、よりリフレッシュ効果を得られやすいはずです。沖縄の観光・地域資源も活用して、より効果的にリフレッシュできるワーケーションを実施いただければと思っています。
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