筆者は近ごろ、友人の言ったことを聞き直したり、テレビの視聴中に字幕とダイアログエンハンサー(セリフを聞き取りやすくする機能)をオンにしたり、混雑したレストランのような場所で会話に集中するのに苦労したりしていることに気づいた。聴力がある程度低下したことは自覚しているが、お金と時間をかけて、聴覚専門医に診てもらうほどなのだろうか。
本記事の読者の中にも、同様の不安を抱いている人がいるかもしれない。
加齢による聴力の低下は、年齢を重ねる中で、成人が発症する最も一般的な症状の1つだ。 米国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)によると、米国では、12歳以上の8人に1人(3000万人)が両耳の難聴を患っている。
聴力に問題がある人のために、Appleは聴力検査の必要性の有無を判断する新しい方法を用意した。「iOS 18.1」で追加された新しい「聴覚の健康」機能の一部として、「AirPods Pro 2」イヤホンを使用して、「iPhone」で「臨床グレード」のヒアリングチェックを受けることが可能になった。
筆者はこの5分ほどの検査を受け、その結果に驚いた。
Appleの聴覚の健康機能で最も重要な要素は、イヤホンだ。具体的には、AirPods Pro 2が必要である。初代の「AirPods Pro」、無印の「AirPods」「AirPods Max」では機能しない。
その次に重要な要素は、静かな環境だ。約5分間、誰にも邪魔されずにヒアリングチェックを受けられる静かな部屋を見つけよう。
テストの一環として、AirPods Pro 2のイヤーチップがしっかりとフィットしているか確認が行われるほか、周辺環境の評価も行われる。静けさを妨げるものがあれば、テストは一時停止する。
まず、AirPods Pro 2を耳に装着して、iPhoneを手に持ち、以下の手順を実行する。
最初に、ユーザーが18歳以上かどうか、過去24時間に大きな音のする環境にいたかどうか、といったことを確認する質問が表示される。さらに、イヤホンがきちんと装着されており、音が漏れていないことを確認するために、短い音楽が再生される。
セットアップが完了すると、左耳からチェックが始まる。音が3回ずつ再生されるので、音が聞こえたら画面をタップする。音はさまざまな音量と周波数で再生され、数分間続く。画面上部には、その耳のテストの進捗状況を示す円が表示される。
左耳と右耳をチェックしたら、テストが終了し、結果がdBHL(聴力レベルを表す単位)値として表示される。聞こえた周波数と音量をグラフで表した聴力図も確認できる。
意外なことではなかったが、筆者の左耳の聴力は右耳よりも低かった。そのことはテストを受ける前から分かっていた。耳鳴りが続いており、状況は悪化していた。実際に、左耳のテストでは、耳鳴りがしていたため、音が全く再生されていないように感じることもあった。
しかし、驚いたことに、テスト結果では両耳とも「難聴の可能性はほとんどない」と表示された。「詳細情報を表示」をタップすると、難聴度を示す5つの段階が表示される。
テスト結果は「ヘルスケア」アプリに保存され、そこでより詳細なデータを確認することができる。例えば、過去の検査結果を見て、難聴度の変化を追跡することも可能だ。検査結果を医師に送信する必要がある人のために、PDFに出力できるオプションも用意されている。
Appleの健康関連の機能は多くの場合、「便利だが臨床レベルには達していない」という水準にとどまっている。例えば、「Apple Watch」の「心電図」アプリは心臓の電気信号を測定して心臓の健康状態を評価するが、専門医による心電図検査ほど正確ではない。心房細動の兆候を示す心電図アプリの検査結果は、基本的に「これは問題かもしれない。専門医に診てもらった方がいい」と言っているのと同じだ。
だが、ヒアリングチェックについては、Appleはこの機能を発表したすぐ後に、米国で米食品医薬品局(FDA)の認可を受けている。同社がこの機能を「臨床グレード」と呼んでいるのは、そのためだ。
iPhoneでの検査で難聴の兆候が見られた場合、いくつかの選択肢がある。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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