「Apple Watch Series 10」はAppleの最新のスマートウォッチだが、1年前に発売された「Apple Watch Ultra 2」と共通点が多いと聞くと、驚く人もいるかもしれない。どちらのウォッチも、健康やフィットネス関連のトラッキングツールを一通り備え、OSは「watchOS 11」、対応アプリのラインアップも変わらない。では、どちらを選ぶべきか。その答えを探るべく、筆者は両方のウォッチを1カ月間装着し、ディスプレイの違いから健康データの精度まで、あらゆる面を比較した。
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Apple Watch Ultra 2の魅力は、頑丈なつくりと長いバッテリー駆動時間だ。この高価なスマートウォッチは明らかにスポーツ愛好家に照準を合わせている。一方、Apple Watch Series 10は、どの角度からも見やすいディスプレイ、より多くの手首にフィットする薄型デザインのおかげで、Apple Watch Ultra 2にも引けを取らない。
もちろん、予算がなければ性能を比べても意味はない。自分に合ったApple Watchを選ぶ上で、価格は大きな決定要因だ。Apple Watch Ultra 2には、仕上げ以外に選べる要素があまりない。素材はチタニウムのみ、ケースのサイズは49mm一択で、価格は799ドル(日本では12万8800円)だ。
一方、Apple Watch Series 10は42mmと46mmの2サイズが用意されており、素材もアルミニウムとチタニウムから選べる。42mmのアルミニウム製Apple Watch Series 10は399ドル(日本では5万9500円)からだが、構成によってはApple Watch Ultra 2の価格帯と肩を並べる。このように、価格だけでは自分のニーズに合った1本は選べない。最適な1本を選ぶために、この記事をぜひ活用してほしい。
ケースのサイズはApple Watch Ultra 2の方が大きい。しかし、表示領域で比較すると、Apple Watchの中で最も画面が大きいのは46mmのApple Watch Series 10だ。たった3%だが、Apple Watch Ultra 2よりも広い。46mmのApple Watch Series 10とApple Watch Ultra 2を比べても、大きな違いは見当たらない。同じ文字盤を設定し、アプリのリストやメッセージの画面を左右に並べて比較しても、違いを見つけるには虫眼鏡が必要になるだろう。つまり、大きい方を手に入れて自慢したいという理由で46mmのApple Watch Series 10を選ぶ理由はない。
目で見て分かる違いとしては、Apple Watch Series 10は広視野角OLEDディスプレイを採用しているため、斜めからでも見やすい。特に、時刻を確認するために視線を落としたときに違いがよく分かる。
Apple Watch Series 10は、「リフレクション」「流れ」「アクティビティデジタル」などの文字盤で常に秒針を表示できるようになった。これはApple Watch Series 10の「LTPO 3」ディスプレイが可能にしたもので、常時表示モードが有効になっていれば、リフレッシュレートは1Hz、つまり1秒に1回画面を書き換えられるため、秒針が動く様子を見ることができる。Apple Watch Ultra 2に同じ文字盤を設定しても、秒針が動く様子は確認できない。
ディスプレイの明るさが重要なら、Apple Watch Ultra 2は最大輝度が3000ニトとなっており、Apple Watch Series 10の最大2000ニトよりも明るい。もっとも筆者のテストでは、屋内か屋外かを問わず、どちらの時計も視認性に問題はなかった。
Apple Watch Ultra 2のチタニウムケースは少し盛り上がっており、サファイアクリスタルディスプレイのエッジ部分の保護が強化された。Apple Watch Series 10は、ケースの素材によってディスプレイの保護方法が違う。アルミニウムケースの場合は「Ion-X」ガラス、チタニウムケースの場合はサファイアクリスタルを採用する。
どちらのウォッチも防塵・耐水性能を備えているが、Apple Watch Ultra 2は水深100mまで耐えらえるのに対して、Apple Watch Series 10は水深50mが限界だ。Apple Watch Ultra 2は、他にもスキューバダイビング用の「Oceanic+」アプリなど、独自のダイビング機能を搭載する。
何を快適と感じるかは、人によって大きく違うかもしれない。筆者はこの1年間、Apple Watch Ultra 2を愛用してきたが、Apple Watch Series 10に付け替えたとたん、手首が楽になったと感じた。常にApple Watchをつけていたい人、睡眠データを集めるために就寝中もつけていたい人には、Apple Watch Series 10の方が快適度ははるかに高い。
Apple Watch Ultra 2には、オレンジ色のアクションボタンという抗いがたい魅力がある。このボタンを押すだけで、ワークアウトを開始したり、ストップウォッチや懐中電灯を起動したりできる。よく使う機能のショートカットを割り当てることも可能だ。ボタンを押した時に実行される機能は場面によって変わり、例えばワークアウト中にボタンを押すとセグメントを記録できる。
watchOS 11ではアクションボタンの利便性がさらに増し、ボタンを長押しすると他のアクションのリストがポップアップ表示されるようになった。長押しするだけですべてのオプションが表示されるため、すばやくアクションを切り替えられる。
Apple Watch Series 10にはアクションボタンがない。文字盤に表示するコンプリケーションをカスタマイズすれば同じようなことはできるが、物理的なボタンを押す気持ちよさにはかなわない。
搭載されているチップは、Apple Watch Series 10が「S10」、Apple Watch Ultra 2は1つ前の世代の「S9」だ。パフォーマンスの違いを探るため、同じアプリを開いたり、デバイス上の「Siri」に指示したり、ダブルタップで選択したり、さまざまなアクションを思いつく限り試してみたが、どちらのウォッチも同じくらい高速だった。
Apple Watch Series 10もApple Watch Ultra 2も、「iPhone 15」や「iPhone 16」とペアリングすると、「正確な場所を見つける」機能が利用できる。容量はどちらも64GBだ。
文字盤については、Apple Watch Ultra 2でしか使えないものが2つある。「モジュラーUltra」と「ウェイファインダー」だ。この2つの文字盤は情報量が多く、7~8種類のコンプリケーションを配置できる。どちらも暗くなると文字が自動で赤くなるナイトモードを搭載する。また、ワークアウト画面に表示できるデータフィールドはApple Watch Ultra 2の方が1つ多い。
Apple Watch Series 10とApple Watch Ultra 2はどちらもスピーカーとマイクを搭載しており、iPhoneが近くにあれば電話に出ることが可能だ。Apple Watch Ultra 2とApple Watch Series 10のチタニウムモデルはLTEを標準装備しているため、iPhoneが近くになくても電話に出たり、メッセージを送信したりできる。ただしApple Watch Series 10のアルミニウムモデルでは、LTE対応と非対応の2種類があり、前者の方が高価だ。対応するスマートウォッチでLTEを有効化するためには通常、ワイヤレス通信事業者に追加料金を支払う必要があることをお忘れなく。
マイクの品質を比べるために通話時の音声も録音してみた。結論からいうと、通話品質は非常に似通っており、ハードウェアの構成が若干違うにもかかわらず、大きな違いは感じられなかった。どちらも背景の騒音を抑え、筆者の声をしっかりと拾ってくれた。
どちらのウォッチもヘッドホンを使わずに、内蔵スピーカーで好きな音楽を再生できる。音楽やオーディオブック、ポッドキャストを入れておけば、再生ボタンを押すだけでスマートウォッチのスピーカーから音が流れ出す。
健康やフィットネス関連のデータトラッキング機能も似ており、どちらも温度センサー、心電図アプリ、高心拍数と低心拍数の通知、不整脈の通知といった機能を備える。心拍センサーは同じものが搭載され、ペダル型パワーメーターのようなBluetooth対応アクセサリーとも接続可能だ。Appleのアクティビティリングのシステムと連携させれば、日々の活動も記録できる。
この他、睡眠時無呼吸の通知、転倒検出、衝突事故検出、緊急通報といった機能も共通で備える。ただし米国で購入したApple Watch Ultra 2またはApple Watch Series 10シリーズについては、特許の問題で血中酸素センサーは使用できない。もし2024年1月18日以前に販売されたApple Watch Ultra 2が手に入るなら、血中酸素センサーはまだ利用できるはずだ。
このようにApple Watch Series 10とApple Watch Ultra 2の機能はかなり似ているが、屋外で使用する機能については違いが見られる。例えばApple Watch Ultra 2にはサイレン機能があり、動けなくなったときに86dBの警報を鳴らして、周りの人に自分の場所を知らせることが可能だ。Apple Watch Series 10と比べると、動作環境も広い。つまり、より寒い場所、より標高が高い場所でも使用できる。水深も40mまで測定可能だ(Apple Watch Series 10は水深6mまで)。
GPS性能も違う。Apple Watch Ultra 2はL1とL5の2周波GPSを搭載しているのに対して、Apple Watch Series 10はL1のみだ。筆者のテストでは、Apple Watch Ultra 2の方が市街地での距離やルート情報の追跡精度は高かった。
公式サイトによると、バッテリー駆動時間はApple Watch Series 10が最大18時間、Apple Watch Ultra 2は最大36時間だ。しかし、実際の環境ではどちらもはるかに長い時間使用できる。例えば電話の通知、常時表示ディスプレイ、睡眠トラッキングを有効にし、GPSを利用するワークアウトを1時間程度する場合、Apple Watch Series 10は充電が必要になるまで1日半、Apple Watch Ultra 2は3日近く使うことができた。
どちらにもバッテリーをさらに長持ちさせる低電力モードがあるが、使い方によって変わる。LTEを使用するなど、リソースを集中的に消費するタスクはバッテリーの消耗が速い。例えばスピーカーで音楽を再生しているとき、バッテリーの消耗は通常より速かった。
どちらの機種も、18W以上のアダプターがあれば高速ワイヤレス充電が可能だ。Series 10は30分ほどで80%まで、Ultra 2は1時間ほどで80%まで充電できる。
Apple Watch Series 10とUltra 2は見た目がかなり異なり、別々の用途に適しているが、内部は驚くほど似ている。
優れたバッテリー持続、頑丈な構造、特定のスキューバダイビング関連機能が必要であれば、Ultra 2 を購入すべきだ。しかし、筆者を含めほとんどの人には Series 10の方が合っているはずだ。充電の頻度はやや増すものの、必要なことはほぼすべてこなしてくれる。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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