筆者はこれまで、そこそこのレベルの同じフィットネスルーティーンを長く続けてきた。だが、出産前の体型に戻すためにも、もう少しステップアップしようという気になっているところだ。
過去6年間ずっと、筆者は「Apple Watch」を使ってきた。どのくらいワークアウトを達成できたか(できなかったか)を正直に記録するため、そしてアクティビティリングを完成させるために、夜遅くなってでもウォーキングに出るよう背中を押してもらうためだ。あるいは、「フィットネスレベル」が低下傾向にあるときに通知してもらうという目的もある(出産してまもないのだが、Apple Watchはそんなことお構いなしだ)。表面的には、全部うまくこなしているように見えるかもしれない。だが、実際の運動量は目標を達成できる最小限で、身体はそれをちゃんと分かっている。ベストの体型でフィットネス目標を目指して運動していた頃との身体(とメンタルの状態)の違いを自分で感じとれる。
筆者の目標はこうだ。赤ん坊を抱っこしても背中が痛くならないくらい体幹を鍛えたい。もう一度、長距離を走れるようになって、2025年には10kmのマラソンまたはハーフマラソンに出場できるだけの持久力をつけたい。そして、筋質と筋肉量を上げて、産後もまだ頑固に残っている最後の脂肪を落としたい。30代で3人の子どもを抱え、ワークアウトのスケジュールもままならない今となっては、「ベストの体型」といっても以前と同じにならないことは認識している。それでも改善の余地はあるはずで、ありがたいことにApple Watchにはそれをサポートするためのツールがそろっている。
多くのユーザーにとって(意志とは別に)大きなハードルとなるのが、そもそもApple Watchにはどんなヘルス機能があるのかを知ることだ。Appleは、Apple Watchのヘルス機能とフィットネス機能の開発に注力し続けており、新しいモデルをリリースし「watchOS」をアップデートするたびに、新しいツールと機能を追加している。心拍数の通知、月経周期などを記録する周期記録、転倒検出、心電図の記録機能などがあった。最も新しく追加された睡眠時無呼吸の通知機能は、9月に米食品医薬品局(FDA)に承認され、「Apple Watch Series 9」「Apple Watch Series 10」「Apple Watch Ultra 2」で使えるようになる。
フィットネスのルーティーンを再開するうえで、筆者にとって画期的だった2つの機能が、「心拍数範囲」と「心肺機能」だ。ただし、どちらの機能もApple Watchと「iPhone」でカスタマイズする手間はやや複雑だった。使ってみて分かったことは、以下のとおりだ。
今のルーティーンは、現状のままで何とかこなせるくらいなので、全面的に見直すのではなく、各エクササイズの持続時間と強度を増やすことで現状に上乗せすることにした。筆者の毎週のルーティーンは、ピラティスのセッション2回(筋力トレーニング)と、早足でのウォーキング3回(有酸素運動)である。有酸素運動はカロリーの燃焼と持久力の強化に効率的で、筋力トレーニングでは脂肪が燃焼して筋肉が鍛えられる。
エクササイズ中の運動強度を測定する方法として、心拍数(1分あたりの拍数)を測るやり方がある。このデータの有効な活用法として一般的なのが、自分の最大心拍数(220から年齢を引いて求める)などに基づいて、運動ごとに目標とする心拍数を決めることだ。この最大心拍数から安静時心拍数を引いたものが心拍予備量として知られており、それを用いて目標の運動強度を計算できる。
ありがたいことに、Apple Watchがこれを計算してくれる。そのうえで、心拍数データが5つの範囲に分類され、リアルタイムで表示されるので、ワークアウトが終わった後にiPhoneでまとめて確認できるだけでなく、運動中に手首に目をやれば、その時点での強度を確認できるようになっている。この機能は、ワークアウトの種類によってあらかじめオンになっている場合と、なっていない場合がある。手動でオンにできるし、必要なワークアウトのカテゴリーで表示される順序を並べ替えることもできる。
これで、ワークアウトの最中にApple Watchのデジタルクラウンを回せば、ワークアウトを通じてどの心拍数範囲にあるかが分かる。Cleveland Clinicによると、範囲が1~3の場合は、おおむね脂肪が燃焼しており、範囲が4か5の場合は炭水化物とタンパク質が燃焼していることになるという。
注意してほしいのは、この手動による更新で心拍数範囲がオンになるのは、特定のワークアウトの表示だけということだ。したがって、例えば同じ週に別カテゴリーのワークアウトをするときは、そちらも表示を有効にする必要がある。心拍数範囲は、「設定」を開いて手動で編集することもできるが、デフォルトではApple Watchが既存のデータに基づいて自動的に計算し、毎月1日には再調整してくれる。
iPhoneの「フィットネス」アプリで直近10種類のワークアウトを分析したところ、ピラティスのセッション中は一貫して範囲1で、有酸素運動であるはずの速めのウォーキング中でも範囲3に届くことは少ないと分かった。
どちらのエクササイズでも、次のレベルに進みたければ、今よりも高い心拍数範囲で運動する必要がある。範囲4と5に届くには、ウォーキングをジョギングに切り替えたうえで、何回かは全力疾走をはさむか、コースに勾配を入れる。ピラティスで範囲2に届くには、通常のセッションが30分のところを10分増やして負荷も上げなければならないだろう。
次のステップは、自分の進捗を測る方法を理解することだった。外見で気づきそうな身体的変化はわずかなので、それだけではなく目に見える形でフィットネスレベルを測る方法が必要になる。筋肉は脂肪より密度が高いので、体重計では詳しく分からない。そこで活用したいのが、心肺機能のレベルだ。
心拍数範囲に加え、Apple Watchは心拍データと経時的な運動データを使って、最大酸素摂取量(VO2 max)を計算する。アメリカ心臓協会によると、最大酸素摂取量とは運動中に人の身体が利用できる最大酸素量であるという。Appleはこれを心肺機能レベルと呼んでおり、iPhoneの「ヘルスケア」アプリで確認することができる。
このレベルは、「高い」「平均より上」「平均より下」「低い」というカテゴリーのいずれかに分類される。筆者の現在のレベルは41で、ぎりぎり「高い」カテゴリーに収まる程度。筆者の目標は、3人目を妊娠する前の数字である50に近づくことだ。Apple Watchは医用グレードの機器ではないため、こうしたデータは自分の進捗状況を知る目的に使うだけで、種類を問わず医療目的には使うつもりはない。
「watchOS 11」のリリースに合わせて、Apple Watchには「トレーニングの負荷」という新機能も追加された。過去28日間のデータと比較して、自分のワークアウトについて強度の順位付けをし、グラフにして表示するという機能だ。ピラティスなとの筋力トレーニングのエクササイズでは自動的に実行されないが、手動で入力してグラフで結果を見ることはできる。また、上述した心拍数範囲のようにワークアウト中にリアルタイムで表示することもできないものの、心肺機能レベルの補助的な情報としても、経時的に進捗を追跡する手段としても有効だ。
適切なツールと指標があるおかげで、目標達成に向けて再始動できると確信している。急速な変化を求めているわけではないので、目標達成の具体的な期限を設定する必要は感じていない。達成できればそれを喜び、数カ月後に成果を確認できればよい。
フィットネスのどんな段階にある人でも、自分のルーティーンを大きく変えるときには、前もって医師に相談することも重要だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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