三菱地所は9月27日、「気候テック」に特化したイノベーション拠点「0 Club(ゼロクラブ)」を開設すると発表した。気候テックを手掛けるスタートアップや事業会社などの集積地になることを目指す。開設日は10月1日。
0 Clubは、東京都千代田区大手町の新大手町ビル(東京都千代田区大手町2-2-1)3階に位置する。約1800平方メートルの広さの中にカフェやラウンジスペース、コワーキングスペースや個別ブースなどを設ける。
気候テックを手掛けるスタートアップ向け施設としており、50社程度が入居する予定。すでに、グリーン電力ソリューション事業などを手掛けるクリーンエナジーコネクトの入居が決まっている。
「0 Clubは、三菱地所といった企業の枠を超えて地球レベルで環境負荷低減に尽力するべく始動したプロジェクト。丸の内エリアで私たちが運営するビルの空室率は大体2%で推移しており、ほぼ空きがない状態が続いている。かたや0 Clubの面積は約550坪あるが、ここを貸し出して賃料収入をいただくことは考えず、地球レベルでの環境負荷低減に尽力すべく活用しようと考えた。気候変動問題は、地球規模での喫緊の課題。欧米を中心に気候テックへの投資も進んでいるところもあるが、日本ではまだ少ない状況。三菱地所としては、スタートアップ、大企業、アカデミア、ベンチャーキャピタル、行政など、この産業にかかわるすべての方々の拠点となる場所を整理し、それぞれが有機的に連携する仕組みをつくりたいと考えている」(三菱地所執行役常務の荒木治彦氏)と設立目的を話した。
ワークスペースとして機能するほか、セミナーやワークショップ等のイベントも実施していくとのこと。東京大学の協力で、社会人向けリスキリングプログラムの開設も予定しており、こちらのプログラムでは急成長が見込まれるClimate techとGX(グリーン・トランスフォーメーション)に特化した、分野横断型の内容になる。
東京大学 産学協創推進本部スタートアップ推進部 FoundXディレクターの馬田隆明氏は「気候テックと一言でいっても肥料から健康まで扱う領域は幅広いため、この問題を解決するためには知識と仲間が必要。0 Clubがそうした知識を学ぶ場としても機能したり、熱量のある有志が集まったりして、新しいつながりを生んでいきたい」とした。
さらに、研究開発支援コンサルティングなどの事業を手掛けるアークレブと業務委託契約を結び、「研究者ネットワーク」の提供も開始する。入居者に対して研究開発や新規事業創出に関する、専門的なアドバイスの提供や適切な研究者の紹介を実施していく計画だ。
0 Clubの内装は「できるだけ作らないで作る」をキーワードに掲げ、アップサイクルやリサイクル品を数多く採用。鉄骨下地などをあえて露出させるなど、作る量を最小限に抑えている。
また、オフィス内で使用する電力は、クリーンエナジーコネクトが提供する小規模な低圧太陽光発電所を活用したバーチャルPPAサービスを使い、カーボンフリーとするなど、環境に配慮している。
荒木氏は「0 Clubは、三菱地所グループの気候変動対策に関する新たな取り組みであると同時に、未来の成長領域である気候テックへの先行投資であるとも考えている。この場所からさまざまな企業や事業が生まれ、温室効果ガス排出量削減にインパクトをもたらすこと、丸の内エリアに気候テックの企業が集積しているという新たなイメージを認知いただくことが目標だと考えている」とした。
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