気になるポイント
Pixel Watchシリーズは、Fitbitの健康エコシステムとシームレスに統合された、シンプルで洗練されたスマートウォッチだ。筆者の場合、残念ながら初代Pixel Watchと「Pixel Watch 2」は小さすぎて、1カ月ほど試してから、別のウェアラブル製品に乗り換えていた。
しかし、Pixel Watch 3の登場で状況は変わった。実際、Pixel Watch 3を使い続けるためにメインのスマートフォンを「Pixel 9 Pro」に変えようかと考えているほどだ。
Pixel Watch 3は2つのサイズで展開されている。筆者がここ数週間使っているのは、画面の大きい45mmモデルだ。Pixel Watch 2と比べると、画面サイズは40%大きくなった。ディスプレイが大きく、明るくなったことで(最大輝度2000ニト)、筆者の太い手首にもしっくりとなじむようになった。
画面が広くなったことで、多くの情報を一目で確認できるようになった。加齢とともに視力が落ちている筆者でも、フォントサイズを大きくすれば、はっきりと見えることがうれしい。
ディスプレイや全体的なサイズが大きくなったので、搭載されているバッテリーも大きくなり、1回の充電で通常は2日近く使用できている。ランニングに行こうと思いたったときにバッテリー残量が20%台まで減っていたことが何度かあったが、急速充電機能のおかげで身支度を調えている間に50%まで充電できた。
ランニングといえば、今回のPixel Watchはカジュアルランナーのニーズに対応できるように最適化されている。14日間、Pixel Watch 3を継続して装着すると、有酸素運動負荷の目標が設定される。その目標に合わせて、スマートフォンにインストールしたFitbitアプリの「コーチ」タブに、お勧めのランニング計画が表示される。
ワークアウト中は、設定したインターバルに合わせて、明確な音声コマンドと分かりやすいグラフィックでガイドしてくれる。ワークアウトの画面は、4種類の指標を表示するか、心拍ゾーンを表示するかの二択だ。ほとんどのランナーにとっては問題ないが、もっと多くの指標をトラッキングしたい、指定したペースや過去の記録と比較したい、4種類以上の指標を見たい人には物足りないかもしれない。
走った後は新しいダッシュボードを忘れずにチェックしよう。大量のデータ、パフォーマンスを改善するためのヒントやアドバイスが表やグラフを用いて、分かりやすく表示されているはずだ。ランニングパフォーマンスの画面では、心拍数やペース、距離、標高といった基本的な情報に加えて、接地時間、上下動、歩調、歩幅といった詳細なデータも確認できる。個人的には、ランニングのフォームを分析してくれる機能が気に入った。パフォーマンスを最適化し、ケガのリスクを減らすために何をすべきかを理解する助けになるからだ。
Pixel Watchシリーズは、手首に装着した状態で心拍数を正確に測定できることで定評があるが、この特徴はPixel Watch 3にも受け継がれた。残念だが、サムスンの「Galaxy Watch Ultra」と同様に、外部のBluetoothセンサーとは接続できない。
筆者の場合、ランニング中に新しいアイデアや考えが浮かぶことが多いので、走りながら音声メモを残せるようになったことは大きな進化だ。この新しいボイスレコーダーアプリは、今のところ、Pixel Watch 3の個人的なベスト機能の1つだ。筆者はこのアプリをメインのタイルに設定している。
ボイスレコーダーアプリを使うと音声メモを記録できる。記録した音声データはPixelシリーズのスマートフォンの「レコーダー」アプリに表示され、編集を加えることも可能だ。例えば文字起こしをして、その内容を「Googleドキュメント」にコピーしたり、音声クリップを共有したりできる。録音した音声をGoogleアカウントにバックアップし、recorder.google.comからアクセスすることも可能だ。
Google製品との連携も強化され、「Google Nest」のスマートホーム用カメラの映像を表示できるようになった。マイクを起動して、カメラに映っている人物と話すこともできる。ペアリングしたPixelスマートフォンの前面カメラと背面カメラのすべてのカメラモードをPixel Watch 3から遠隔操作することも可能だ。Pixelスマートフォンの優秀なカメラを最大限に活かすためには、Pixel Watchという相棒が欠かせない。
脈拍損失検出も注目の新機能だ。まだ一部の地域でしか利用できないが、Pixel Watchにも命を救う健康機能が追加されたことを歓迎したい。この機能が近いうちに米国でも利用できるようになることを期待している。筆者の父親は心不全で亡くなったが、発見されたのは15分後だった。脈拍損失検出機能があれば、もっと早くに誰かが気づき、父は一命を取り留めていたかもしれない。
米国のGoogleストアでPixel Watch 3のLTEモデルを買えば、Googleが提供する通信サービス「Google Fi Wireless」を利用して、メッセーングやナビゲーション、音楽ストリーミングのデータを2年間無料で提利用できる。電話番号によるテキストメッセージの送受信も可能だ。このサービスを利用する場合、電話はサポートされないが、ワイヤレスキャリアと契約してLTE接続を有効にできる。
ウォッチフェイスの選択肢も豊富だ。さまざまな組み合わせがあり、フェイスデザインも細かくカスタマイズできる。Apple Watchと比べれば、アプリの機能や種類は見劣りするが、Googleアプリとの連携はかなり魅力的だ。「Googleアシスタント」は優秀だし、「Googleウォレット」にカードを登録しておけば各種ポイントアプリも不要になる。
約2年前、「Made by Google」イベントで初代Pixel Watchを見たときは、そのミニマルな姿に感動を覚えたものだ。その後の2年間でPixel Watchは大きく進化した。
Pixel Watch 3は筆者のニーズをすべて満たした上で、期待を上回る機能も備えている。すでにPixelシリーズのスマートフォンを使っている人にとっては、最高のスマートウォッチとなるだろう。カジュアルランナーの場合は、コーチやワークアウトの相棒として、さらに魅力的な1本となるはずだ。
Pixel Watch 3この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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