筆者は3年前、COROS(カロス)のアドベンチャーウォッチ「VERTIX」の初代モデルを「VERTIX 2」にアップグレードした。VERTIX 2は多くのトレイルランやハイキング、自転車旅行で良い相棒になってくれたが、2022年末に同じCOROSのスポーツウォッチ「APEX 2 Pro」に乗り換えた。心拍センサーと衛星ナビゲーションシステムが強化されたと聞いたからだ。しかし、デザインやフィット感、仕上げはVERTIXシリーズの方が好みだった。
VERTIXシリーズの新作「VERTIX 2S」が発売されたと聞いたときの筆者の興奮を想像してほしい。APEX 2 Proの主要な機能が、ついにVERTIXシリーズにも搭載されたのだ。一連の機能強化によって、VERTIX 2SはCOROSのフラッグシップウォッチとなった。しかも、数々の改善が加えられているにもかかわらず、価格は前モデルと同じ699ドルに据え置かれている(日本では4400円高い9万3500円)。
この1カ月間、筆者はVERTIX 2S(Spaceカラー)をテストしてきた。新デザインの文字盤は初期設定では見にくく、表示できる情報も少なかったので、情報量の多い(そして一目で把握しやすい)デザインに変更した。
COROSのスポーツウォッチの最大の特徴は、驚異的なバッテリーの持ちだ。この点では、COROS製品は一貫して競合製品を圧倒してきた。興味深いことに、VERTIX 2Sのバッテリー駆動時間はVERTIX 2よりも若干短い。これは内蔵センサーが改良され、大きくなったためだろう。公式の情報によると、GPSモードでの連続稼働時間はVERTIX 2が127時間、VERTIX 2Sは118時間となっている。
連続稼働時間はわずかに短くなったものの、VERTIX 2Sのバッテリー性能は引き続きトップクラスだ。筆者は鮮明なディスプレイよりもバッテリーの持ちを重視するタイプなので、消費電力の少ないメモリーインピクセル(MIP)液晶ディスプレイが引き続き採用されたことをうれしく思う。イベント参加中にバッテリーが切れる心配がなく、一般的な使用頻度なら2~3週間に1度の充電で済むのは大きなメリットだ。
VERTIX 2Sは大きい。直径は50.3mm、厚さは16mmある。しかし、この大きさに反して重さは付属のナイロンバンド装着時で70gしかない。リサイクル素材を使ったパッケージには、ナイロンバンドの他に本体カラーとマッチした色のシリコンバンドも同梱されている。耐久性を高めるため、ディスプレイには傷に強いサファイアガラスを採用。ベゼルと背面カバーにはチタン合金が使われている。
筆者の太めの手首には、26mm幅のバンドと全体のボリューム感がしっくりきた。防水性能は10ATM(水深100mまでの水圧に対応)、使用可能な気温範囲は-30度から50度となっており、スポーツウォッチとしては標準的だ。
BluetoothとWi-Fiに対応しているため、スマートフォンにインストールしたCOROSアプリと連携させたり、外部センサーやローカルネットワークとつないで時計を同期させたりすることも可能だ。衛星測位システムはGPS、GLONASS、Galileo、Beidou、QZSSの5つに対応。位置情報の精度を高めるデュアル周波数モードを搭載し、L1信号に加えてL5信号も受信できる。「Outdoor Climb」モードのGPSアルゴリズムも最適化され、クライミング中でも正確な位置を把握できるようになった。
今回のテストでは、比較の目的でアウトドアウォッチの「SUUNTO RACE」と「Polar Grit X2 Pro」も使ってみたが、見通しのいい道路でも木々に囲まれた山道でも、位置情報はVERTIX 2Sが最も正確だった。心拍センサーの精度はほぼ互角で、どれもお勧めできる。
トレーニング負荷、トレーニング状態、リカバリー、ランニングフィットネス、ストレスといったフィットネス指標の確認には、公式のCOROSモバイルアプリを使う。このアプリは、簡単な指示に従うだけでトレーニングを最適化できる点が気に入っている。これは多くのメーカーが無視するか、おざなりにしている機能だ。
VERTIX 2Sがトラッキングできるスポーツは、ランニング、ウォータースポーツ、ウィンタースポーツ、有酸素運動など、20種類を超える。無料で使えるトレーニングプランやワークアウトも用意されているが、「Training Hub」ウェブサイトにアクセスすれば、COROSウォッチのユーザー用に開発された高度な分析ツールを利用できる。うれしい特典として、実際にコーチから無料でアドバイスを受けることも可能だ。
Training HubとCOROSアプリは非常に優秀なので、筆者はVERTIX 2Sを買ってVERTIX 2から移行し、今後はCOROSのエコシステムで健康とウェルネスをトラッキングしようと考えている。トレーニングプランとワークアウトはカスタマイズ性が高く、モチベーションを上げてくれる。
VERTIX 2Sは、重要な部分がしっかり強化された1本だ。3ではなく2Sとなっているのは、前モデルと全体の形、ディスプレイの技術、主な外見的特徴が変わっていないためだ。朝から晩まで毎日使用でき、充電は数週間に1度でよく、長いレースでも途切れずにトラッキングができて、登山に対応し、どこでも安心して使えるスポーツウォッチを699ドル前後のリーズナブルな価格帯で探しているなら、COROS VERTIX 2Sは素晴らしい選択肢だ。
COROS VERTIX 2Sこの記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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