米連邦地裁は先週、Googleがオンライン検索で違法な独占状態にあるとして、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)に違反しているとの判決を下した。裁判所は、他社に対価を支払って、多くのデバイスでGoogleを標準のウェブブラウザーに設定させていたことが違法行為にあたると判断した。この判決は、何年もの検討を経て下されたものであり、人々がオンラインで情報を検索して見つける方法に大きな影響を及ぼす可能性がある。また、判決を受けて、あらゆるIT系ニュース機関で「Slack」が飛び交うこととなった。
判決文を読んでいると(正確に言うと、ざっと目を通しただけである。286ページもある判決文を読む時間などない)、オンライン検索の現状に関する2つの隠れた事実が浮かび上がってきた。Amit Mehta判事によって引用されたGoogleの社内調査では、「Google検索」はMetaや「TikTok」といったほかのIT系大手と比べてどうなのか、特に、TikTokはどのようにしてZ世代の検索ユーザーを獲得し続けているのか、という点に新たな光が当てられていた。
Adobeが1月に発表したレポートによると、米国人全体の40%以上がTikTokを検索エンジンとして使用しているという。Googleの調査でも同様の結果が出ており、若いユーザーの割合が高いことが確認されている。TikTokを毎日使用する18~24歳のユーザーの63%が、過去1週間にTikTokを検索エンジンとして使用したと回答したという。さらに、何を検索したのかを尋ねたところ、Z世代のほぼ50%がソーシャルメディアを特にショッピングに使用していると回答したという。調査内容そのものは判決文には含まれていないが、Googleの検索担当バイスプレジデントのLiz Reid氏(事実証人として名を連ねている)によるものであり、具体的な証拠もあるという。
筆者は、疑問の解消や情報の発見、判断の参考にソーシャルメディア、特にTikTokを好んで利用するZ世代の1人だ。新しい物を買うのは、TikTokで見かけたことがきっかけである場合が多い。TikTokは検索会社ではないが(Mehta氏はGoogleの検索事業とソーシャルメディアを明確に区別している)、注目すべき利点がある。筆者は経験から、TikTokが2つの点で「Google検索」より優れていると考えている。それは、信びょう性と利便性だ。
例えば、新しいメイクアップ用品の購入を考えているときは、自分と似たような人がその製品を使っている動画を見たい。旅行を計画しているときは、現地の人や旅行インフルエンサーから必ず訪れるべきスポットを知りたい。筆者の場合、TikTokの動画はGoogleよりも素早くスクロールでき、はるかに素早く情報を吸収できる。これは、Googleの「AIによる概要」が表示されたとしても同じだ。筆者はGoogleでは、これほど細かい情報や個人的つながりは得られない。
TikTokでも、Googleを使っているときと同じような問題にぶつかることはある。筆者は依然として、情報が信頼できるかを判断し、広告をやり過ごし、調べた内容を解釈した上で行動しなければならない。しかし、TikTokの永続スクロールの便利さと文字通り物事を見られるという点で、こちらの方がより簡単な選択肢だと感じられる。また、AI生成の画像や動画があふれるこの時代に一層の注意が必要ではあるが、筆者は本能的に今でも「百聞は一見にしかず」という考えを重視している。
Googleは今回の判決を不服として控訴する意向をすでに示しているが、この訴訟はオンライン検索の未来に長く影響することになるだろう。しかし今のところ、筆者はGoogleと同じくらいTikTokも頻繁に使い続けるつもりだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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