パナソニック ホールディングは7月31日、2025年3月期第1四半期(2024年4~6月)の決算を発表した。生成AI関連が好調に推移し、増収となったが、くらし事業、コネクト、エナジーなどが減益となり、増収減益となった。
売上高は前年同期比5%増の2兆1217億円、調整後営業利益は同9%減の843億円、営業利益は同7%減の838億円、税引前利益は同4%減の1047億円となった。「オートモーティブ、インダストリーが増益となったが、くらし事業、コネクト、エナジーの減益、2023年に計上した『パナソニック液晶ディスプレイの解散に伴う一時益』の反動などもあり、減益となった。営業キャッシュフローは2023年から微増しており、さらなる創出を目指す」(パナソニック ホールディングス 代表取締役 副社長執行役員 グループ CFOの梅田博和氏)とした。
会見では、IRA補助金の大半を「第三者へ権利売却」で決定したことも発表。「IRA補助金の現金化手段には、『法人税の還付』『直接給付』『第三者への権利売却』の3つがあり、2023年は直接給付の方法で、資金化には2年前後かかると申し上げていた。今回採用した第三者へ権利売却により、資金化の時期を、当初の想定よりも約2年前倒しにできる。資金の早期取得を合理的になし得るため、こちらを選択した。補助金は円換算で2000億円前後と見ており、資金化にかかるコストは約55億円。経済合理性が認められたため、こちらの方法を選んだ」(梅田氏)とコメントした。
また、同日に発表されたパナソニック コネクトのプロジェクター事業におけるオリックスとの資本提携と新会社設立については、「プロジェクター事業のさらなる成長を目指すために実行したもの。譲渡金額は1185億円で、そこで得られた資金はパナソニック コネクトの成長領域の投資に充当していく予定」(梅田氏)と説明した。
新会社の株式を20%保有することについては「プロジェクター事業そのものの今後の大きな成長を(オリックスと)共に成し遂げていきたいという意味合いを持つ。パナソニックではポートフォリオマネジメントとして目指す方向性が合致しているか、競争力があるか、ベストオーナーかどうかの3つの考え方を示している。プロジェクター事業については、バーチャル領域での演出やソフトウェアの高度化、機器への投資などの観点からベストオーナーかどうかの判断をし、オリックスの力を借りていこうと考えた」(梅田氏)と背景について話した。
セグメント別の売上高は、オートモーティブが一部商品の生産終了や中国での販売不振、カーOEMにおける減産の影響を受け減収となったが、コネクトは、中国でのスマホ需要の回復基調を捉えたプロセスオートメーションのほか、現場ソリューションやアビオニクスの増販により増収。インダストリーは、欧州、中国での産業用リレーが減販したが、生成AIサーバー向けのコンデンサ、多層基板材料や、ICT端末向けのコンデンサなどの増販により増収となった。
エナジーでは、車載電池は国内工場の需要減が継続、原材料価格の低下等に伴う価格改定もあり減収。北米では、 一時的に生産を調整し、第1四半期は減産となったが、IRA補助金の対象車種の増加もあり、第2四半期以降は好調な販売を見込んでいるという。
営業利益については、くらし事業は、ショーケース、ルームエアコン等の増販益があったものの、 欧州のA2W、中国家電の減販損に加え、為替の悪化により減益。オートモーティブは、固定費増加や減販損の影響はあったが、機種構成の良化や合理化等の取り組みにより増益となった。コネクトは、プロセスオートメーション、現場ソリューションの増販益はあったが、メディアエンターテイメントの減販損やアビオニクスの先行投資、ブルーヨンダーの戦略投資増加により減益。インダスリーは、生成AIサーバー向け製品の増販益に加え、固定費の削減、円安効果により増益となった。
エナジーについては、車載電池の北米工場における収支が材料合理化等により改善したが、国内での増販益や和歌山とカンザスの工場立ち上げ費用の増加、IRA補助金の第三者への権利売却に伴う資金化コストの計上により減益となった。
投資領域と位置づける車載電池、サプライチェーンマネジメントソフトウェア、空質空調事業については「欧州のA2W市況の低迷が続いている。2023年度の第3四半期に大きく売上が減少して以降、回復基調には転じていない。しかし長期的には拡大が見込まれる市場と考えているため、将来の市場回復時期に備え、他社との協業などを進め、競争力を強化している」(梅田氏)と現状を説明した。
パナソニックホールディングスでは、2024年度の連結業績見通しを売上高8兆6000億円、調整後営業利益4500億円、営業利益3800億円と5月の期初公表を据え置いている。
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