試してみた!90時間バッテリー持続のスマートウォッチ「TicWatch Pro 5 Enduro」

Matthew Miller (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎2024年05月15日 07時30分

 筆者はこの数年、Googleやサムスン電子のスマートウォッチをあれこれと取り替えながら、「Android」スマートフォンと連携させて使っている。個人的な意見ではあるが、その理由は、最高のウェアラブル体験を提供してくれるのがGoogleの「Wear OS」だからだ。その結果、バッテリーの持続時間は、スマートウォッチを評価する上で非常に重要なポイントの1つだと考えるようになった。Mobvoiの「TicWatch Pro 5 Enduro」は、そのカテゴリーでは最高水準のデバイスの1つだ。

筆者の腕に装着したTicWatch Pro 5 Enduro
提供:Matthew Miller/ZDNET

 筆者はこの数週間、常に新型モデルのTicWatch Pro 5 Enduroを着けてランニングをし、ボートや自転車を漕ぎ、睡眠を取っているが、その長大なバッテリー持続時間は、筆者がWear OSスマートウォッチに対して感じていた最大の問題を解決してくれた。

 Enduroは、628mAhの大容量バッテリーと、低消費電力でスタンバイできる他のスマートウォッチには見られないデュアルディスプレイ設計を採用している。これは、ディスプレイが有機ELディスプレイと超低消費電力ディスプレイの2層で構成されており、状況によって使うディスプレイを切り替えることができるという仕組みだ。そのおかげで、バッテリーの持続時間はスマートモードでは90時間(ほぼ4日間)、エッセンシャルモードでは最大45日間に及ぶ。その上、わずか30分の急速充電で最大2日間分のバッテリーを充電できる。

 筆者が屋外で走るときには、GPSトラッキングを有効にして、アウトドアランニングモードを使っているのだが、計算上はGPSのトラッキングは最大で15時間できることになっている。筆者は普段から、活動量と睡眠を記録するために24時間365日スマートウォッチを着けており、週に2、3回ランニングをし(1回30~45分)、2、3回はHydrowのローイングマシンでボート漕ぎのワークアウトをしている。この利用パターンで使っていたところ、充電は週に1回程度で済んでいたので、一般的な使い方でスマートモードでは90時間、エッセンシャルモードでは45日間という仕様上のバッテリー持続時間はおおむね正しいと思われる。

筆者の腕に装着したTicWatch Pro 5 Enduro
提供:Matthew Miller/ZDNET

 比較のために書いておくが、Googleの「Pixel Watch 2」では2日目に、サムスンの「Galaxy Watch5 Pro」では3日目には充電が切れていた。バッテリーの持続時間ではTicWatch Pro 5 Enduroの圧勝で、バッテリーの持ちが一番重要だと考えている人には、この349.99ドル(日本では税込4万9999円)のスマートウォッチを強くおすすめできる。

 この優れた持続時間の実現には、ウェアラブルプラットフォームである「Snapdragon W5+ Gen 1」の採用が一役買っている。また、現在はWear OS 3.5が使用されているが、将来的にはWear OS 4へのアップグレードに対応するという。ただし残念ながら、Mobvoiは、アップデートを速やかに提供することに関して十分な実績があるとは言えない。そもそも、Wear OS 4が2023年秋にはリリースされていたことを考えれば、この新モデルには最初からWear OS 4が搭載されているべきだった。

 バッテリーの持続時間以外に目を向けると、インタラクティブに操作でき、カスタマイズ可能で、超低消費電力表示モードを備えたデュアルディスプレイは極めて有用だ。一番上の層にある超低消費電力ディスプレイは常に表示されており、その背景色は18色から選択できる。このディスプレイには、歩数や心拍数、バッテリー残量、時刻、日付などの主な情報を表示することができ、大型の回転式クラウンを回すと、心拍数、血中酸素濃度、コンパスの方位をデュアルディスプレイモードで表示できる。

心拍ゾーンによって色が変わるワークアウト中の表示
提供:Matthew Miller/ZDNET

 ワークアウト中は、この超低消費電力ディスプレイの色が現在の心拍数のゾーンによって6色に変わる。この機能は、ワークアウト中に、細かい数字を見ることなく一目でどの心拍ゾーンにいるかをチェックできるため、非常に便利だ。このモードを使用している最中に「Strava」や「Nike Run Club」などの外部サービスと連携させることも可能で、心拍数、ペース、標高などのデータを超低消費電力ディスプレイに表示させることができる。

 また専用アプリである「TicExercise」には、回復時間、GPSトラッキング、速度、VO2Maxなどのさまざまな数字を扱う100種類以上のワークアウトが用意されている。ただし残念ながら、各ワークアウトのデータ画面をカスタマイズすることはできない。一般のアスリートにはこれでも十分かもしれないが、筆者は表示するデータの優先順位を変更するなどの基本的なカスタマイズはできるようにしてほしいと感じた。幸い、TicWatch Pro 5 EnduroはWear OSのスマートウォッチであるため、Stravaなどのサードパーティーサービスをダウンロードすれば、使い勝手を改善できる。

 ワークアウトが終わると、「TicHealth」アプリに、1日の目標と1週間の目標の達成状況、睡眠に関する詳細情報、心拍数の履歴などのパフォーマンスや健康指標に関する膨大なデータが表示される。TicHealthアプリは、2023年後半に発売された「TicWatch Pro 5」モデルからの特に重要な改良点の1つだと言えるだろう。

 その他の改良点には、回転式クラウンのデザインが変更されたことや、ディスプレイのガラスが「Gorilla」ガラスからサファイアクリスタルガラスに変更されたことなどが挙げられる。

 また、TicWatch Pro 5 Enduroには7000種類以上のウォッチフェイスが用意されており、「TimeShow」アプリを使えば、日替わりでフェイスを変更することもできる。「Googleマップ」「メッセージ」「ウォレット」「Google Keep」 などのアプリも、このデバイスの1.43インチの大型ディスプレイに対応している。通話やメッセージングも接続したスマートフォン経由で利用でき、音声からテキストへの変換も問題なく機能する。

専用アプリのスクリーンショット
提供:Matthew Miller/ZDNET

 サイズは50.15×48×11.95mmで、7000系アルミニウム合金とグラスファイバーナイロンを使用したケースの重量はわずか44.7gだ。サファイアクリスタルディスプレイは傷に強く、24mmのバンドは非常に快適で、クイックリリースピンもついている。また、5気圧防水で、米国防総省のMIL-STD-810H規格の認証も取得しているため、耐久性にも優れている。

 GNSSによって正確な位置のトラッキングを行うことができ、Wi-FiとBluetooth 5.2でスマートフォンやネットワークに簡単に接続できるが、このデバイス自体には携帯電話網に接続する機能はない。

購入のアドバイス

 バッテリー持続時間が長いWear OS搭載スマートウォッチを探している人にとっては、Mobvoi TicWatch Pro 5 Enduroは最高の選択肢だ。デュアルディスプレイ設計はいくつかのユースケースで超低消費電力モードを上手に活用しており、付属アプリは大量のデータを提供してくれる。

 形状は、小型で洗練されたGoogleのPixel Watch 2と比べると昔ながらの腕時計に近く、より荒っぽい使われ方に向いた作りに見えるが、見栄えはよく、カスタマイズのオプションも豊富に用意されている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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