1999年に発売され、人気を博した携帯電話「Nokia 3210」が2024年、デザインをアップデートして帰ってきた。新Nokia 3210は新たにカラーディスプレイと200万画素カメラを搭載、4G LTEにも対応した。英国での価格は75ポンド(約1万5000円)だ。
新Nokia 3210は最低限の機能しか持たないフィーチャーフォンだ。アプリはもちろん、NFC、ワイヤレス充電、タッチスクリーンも使えない。インターネットはかろうじて閲覧できる。欲しい文字が出るまでキーをタップすれば、SMSメッセージも送信可能だ。「T9入力」にも対応する。
新Nokia 3210が、Nokiaブランドの携帯端末を手掛けるHMD Globalによる話題集めに近い商品であることは間違いない。しかし、長いバッテリー駆動時間とコンパクトなデザインは確かに魅力的だ。現代のあわただしい生活からしばし逃れたいが、緊急時には連絡を取れるようにしておきたいという人にとっては、使い道があるかもしれない。
新Nokia 3210について、気になる質問に答えていく。
オリジナルのNokia 3210と「Nokia 3310」は、驚くほどの頑丈さでミームにまでなった伝説的な携帯電話だ。一方、今回発売された新バージョンは、筆者の記憶の中のオリジナル版と比べるとプラスチック感が強い。そこでNicksのごつい革製ブーツを履き、93kgの全体重をかけて端末の上に乗ってみた。ギシギシと不穏な音はしたが、砕けることもヒビが入ることもなかったので、かなり乱暴に扱っても問題はなさそうだ。
ただし、最近は多くのスマートフォンに備わっている防水性能はまったくないので、液体や雨の日の使用には十分に注意したい。
遊べる。プリインストールされているNokiaのレトロゲーム「Snake」は、以前と同様、まあまあ中毒性が高い。ゲームは他にも「Crossy Road」や「Doodle Jump」の機能限定版が搭載されている。どちらも3回までは無料でプレイ可能だ。それ以上遊びたい場合は、国際SMS10回分程度の料金(約5ポンド/ドル、約800〜1000円)で購入する必要がある。
アプリはダウンロードできない。メニューには「Facebook」アプリのロゴがあるが、これはウェブブラウザー「Opera Mini」でFacebookのページにアクセスするためのショートカットだ。アプリストアはないので、「WhatsApp」「TikTok」「Instagram」「Spotify」「Netflix」はダウンロードできない。Nokia 3210を使うということは、ソーシャルメディアを断つことに等しい。もっとも、これは良いことかもしれない。
Opera Miniを使えばインターネットにアクセスできるが、快適とは言いがたい。ウェブサイトの表示は崩れ、ボタンでのナビゲーションは至難の業だ。しかし天気予報やスポーツの試合のスコアをチェックするくらいなら十分だろう。
近所のリサイクルショップで90年代の古着を買い、会議では同僚全員に「FAXして」と頼み、Eiffel 65の「Blue (Da Ba Dee)」、The Cartoonsの「Witch Doctor」、そしてもちろんTLCの「No Scrubs」を聴きまくろう。
それからCD-ROMを買ってコンピューターの2000年問題に備えつつ、「Coors」か「Miller Lite」の栓を抜く。残念なことに、クラフトビール革命が本格化するのは、まだ当分先のことだ。
それはない。しかし、1回の充電で数日間は使える。オリジナルのNokia 3210はうまくすれば何週間も持ったが、新バージョンはカラーディスプレイと4G接続機能を備えているので、消費電力がはるかに大きい。この点は、オリジナルには到底及ばない。
背面に200万画素のカメラがついている。ただし、ひどい出来なので、あまり期待しないほうがいい。撮影条件が良くても露出、ノイズ、色が悪く、残念な写真しかとれない。カメラの質は、2000年代初頭の携帯電話についていたカメラに近い。写真に少しでもこだわりがあるなら他の機種を選ぼう。
ここまでひどいカメラユニットをどこから仕入れたのか、不思議なくらいだ。当時のデッドストックなのか、それとも劣悪な新品なのか。
ラジオが内蔵されているので、通常のAM/FM番組は聴けるが、Spotifyや「Tidal」、「Apple Music」は使えない。しかし、32GBのmicroSDカードに(出所はどこであれ)音楽ファイルを入れて再生することは可能だ。Bluetoothヘッドホン接続できる。
ただしラジオについては、どういうわけかBluetoothヘッドホンでは聞けなかった。ラジオはスピーカーから聞くか、3.5mmジャックに有線ヘッドホンをつなごう。
ソーシャルメディアに露出できない代わりに、90年代の古着ファッションを極めよう。そうすれば、街で最もレトロな人物として認知されるはずだ。ファッションが無理なら、熱気球からビラをまくとか。ターゲットを絞った郵送キャンペーンもいいかも。もちろん伝書鳩を使って。
新Nokia 3210は、筆者のようにオリジナル版を若い頃に愛用していた人間には楽しい端末だ。バッテリーの持ちが良く、耐久性もそこそこあるので、たとえば数日間キャンプに行くときに予備として持参するにはいいだろう。
個人的には、こうした最低限の機能しかないフィーチャーフォンをメインで使いたいとは思わない。スマートフォンなしの生活は、想像以上にやっかいなものだ。それでも、ソーシャルメディアから一時的にどうしても距離を置きたいなら、新Nokia 3210は良い選択肢になるかもしれない。
Nokia 3210この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス