インターネットイニシアティブ(IIJ)は5月30日、千葉県白井市より約68.5アールの水田を借り受け、一連の稲作作業において、IoTデバイスや通信に用いる無線技術などの有用性を検証する実証実験を、2024年2~10月まで行うと発表した。
本実証では、IIJが開発中の水位や水温を測定する水田センサー、遠隔で水位を調節できる自動給水装置、気象センサーなどのIoTデバイスを水田に設置。LoRaWAN、Private LoRa、Wi-Fi HaLowを用いて、データ送受信の試験などを実施する。さらにこれを通じて、現場環境におけるセンサーの正常稼働の確認、稲作作業の労働負荷削減や節水の効果測定、作物の収穫量や品質の評価を行うという。
各デバイスから取得したデータは、IIJの提供する「IIJ水管理プラットフォーム for 水田」などに集約して可視化し、農家、白井市、IIJがスマートフォンやPCなどで閲覧できるようにする。また、水位や水温調整は自動給水弁を用いて遠隔でコントロールし、現場での作業を必要最低限に抑えて、省力化を図るとしている。
IIJは、2017年に農林水産省の公募事業に参画。農作物の生産管理、農作業の負荷軽減、耕作地やため池などのフィールド監視や管理など、スマート農業の推進に力を入れている。北海道や宮城県など、全国で50以上の農業法人や自治体でスマート農業の導入を支援し、2024年度は農林水産省情報通信環境整備準備会の事務局を担当。農業農村インフラ管理の省力化、高度化、スマート農業の実装を図り、地域活性化にも活用できる情報通信環境を整備する取り組みをサポートしてきた。
IIJによると、白井市では、特産品である梨の収穫量向上や鳥獣害対策、農業就業者の高齢化なども課題となっている。同社は白井市産業振興課と協力し、これらの分野においても、スマート農業による課題解決を進めていくという。
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