キヤノンは8月2日、作物栽培の効率化や品質向上などを実現する農業ソリューションとして、画像から作物の生育指標を自動で取得することが可能な農業生育モニタリングシステムの実証実験を実施していることを発表した。
近年、農業における人手不足や気候変動などの環境変化に対応する手段として、AIなどの先端技術を活用するスマート農業への期待が高まっているという。
そこで同社は、長年培ってきたイメージング技術を活用して、非破壊・非接触で作物の画像から生育指標を自動で取得可能な農業生育モニタリングシステム「GM-1」を開発。スマート農業での活用を推進するため、水稲栽培における実証実験を開始した。
なお、同実験は農業ソリューションを提供するベジタリアと行っており、ベジタリアのサービスを利用する日本全国の農業試験場や農業関連の団体・企業、自治体や生産者と協力して、国内約60カ所の水田で水稲栽培における検証を実施している。
GM-1は、撮影した作物の画像から、生育状況を把握する上で重要な葉色・茎数・草丈といった生育指標を自動で計測することができる農業ソリューションシステム。
水田に同システムを設置することで、撮影と画像のクラウドへのアップロードが毎日自動で行われるのが特徴。また、作物の特徴にあわせた独自の画像解析技術と、ディープラーニングによって実現したAI診断技術により、取得した画像から日々変化する作物の生育状況をデータ化できるという。
従来では、手作業で行っていた計測を自動化することで、作業効率を大幅に改善でき、画像から統計的に生育状況を解析することができるため、ばらつきが少ない、安定性・再現性の高い解析が行えるという。
データを継続して蓄積し、過去データと比較することが可能であり、作物の適切な栽培管理に加え、新品種開発や気候変動リスクへの備えなどに活用することも期待できる。
加えて、同実験で毎日データ化される生育指標をもとに、栽培条件の違いが作物に与える影響や品種による生育状況の違いなどを検証。今後は、水稲栽培での実用化を推進するとともに、水稲以外の作物への展開も視野に入れて開発に取り組むとしている。
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