Appleのデザインチームに長年在籍したベテランが設立したAIハードウェアの新興企業Humaneが、事業の売却を検討していると報じられている。売却希望額は7億5000万~10億ドル(約1200億~1600億円)だという。同社は699ドル(約11万円)の「Ai Pin」を4月に発売したばかりだ。
周囲の世界を識別するためのカメラとセンサーを備えたこのウェアラブルデバイスは、「スタートレック」に出てくるようなガジェットを連想させる。しかし、発売当初はバグが多く、約束を果たせていないと酷評された。Bloombergは売却に関する報道の中で、Humaneは財務アドバイザーの支援を受けているが、売却の実現は確実ではないとした。
Humaneの担当者はコメントの依頼に対し、すぐに回答しなかった。
HumaneがAi Pinの発売からわずか1カ月余りで売却を検討していると報じられたことは、AI技術をめぐる世界的な盛り上がりを利用したいと考えているデバイスメーカーにとって、マイナスになる可能性がある。
OpenAIがAIチャットボット「ChatGPT」の一般提供を開始して以来、AI技術の利用は爆発的に増加した。わずか2カ月で1億人以上がこの技術に殺到し、スタートアップの資金調達が急増し、Apple、Amazon、Microsoftをはじめ、Googleの親会社であるAlphabet、「Facebook」を所有するMetaなど、世界の大企業の戦略が変わった。
しかし、多くのソフトウェア企業とは異なり、HumaneはそのAIを、カメラとセンサーが周囲に向くようにシャツやバッグのストラップに装着できる、四角いデバイスを通して提供する。Humaneによると、このデバイスはスマートフォンの次の段階になることを意図したものであり、人々がAIを使ってUberの配車を手配したり音楽を聴いたりするなど、アプリやサービスとやり取りすることを可能にする。Ai Pinはデバイス代の699ドルに加え、通信料を含む月額24ドル(約3800円)のサブスクリプション料金がかかる。
Humaneの高尚な約束と印象的なデモンストレーションにもかかわらず、このデバイスは発売後、米CNETのScott Stein記者が「コンセプトとしては素晴らしいが、実際に使用すると、とてもイライラする」と書くなど、否定的なレビューが相次いだ。Humaneは改良に取り組んでいるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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