OPPO「Find N3 Flip」レビュー:カバー画面の使い勝手が向上、望遠カメラも搭載

Sareena Dayaram (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年10月25日 07時30分

 OPPOの「Find N3 Flip」は、2022年の「Find N2 Flip」と同様、縦長の3.26インチカバーディスプレイを搭載している。サムスンやMotorolaなどのライバルがカバー画面を超大型化しているのに対し、OPPOはカバー画面のソフトウェアに重要なアップグレードを施して、Find N3 Flipの有用性を大幅に高めることで、デザインを強化した。筆者は同機を6日間にわたって使ってみたが、カバー画面のさまざまな新機能によって、OPPOは最適なサイズを見つけられたのではないかと感じる。つまり、Find N3 Flipのカバーディスプレイは、スマートウォッチよりも大きくて便利だが、通常のスマートフォンの画面よりも小さくて邪魔にならない。

Find N3 Flip
提供:Patrick Holland/CNET

 ディスプレイ以外の点では、望遠カメラを含む3つの背面カメラを搭載しており、3つ以上のカメラを備えた唯一のフリップ式折りたたみスマホとなっている。高性能のプロセッサー、OPPOによると耐久性が35%向上したという新しいヒンジ、急速充電、IPX4の防滴性能も備える。

 実際に6日間使用してみて、筆者はFind N3 Flipが競合から抜きん出ることを目指しているのだと確信した。デザインを一新した同機には、競争が激化する折りたたみスマホ分野においてほぼ必要不可欠な、主役にふさわしいエネルギーを備えている。カバー画面の体験に関しても大きな進歩を遂げており、本体を開かなくても、これまでより便利に使用できるようになっている。

 さらに、Find N3 Flipは、折り目がほぼない内側のディスプレイ、信頼性の高いカメラ、堅実なパフォーマンス、十分なバッテリー持続時間、急速充電、向上した耐久性を備えた、洗練されたスマートフォンでもある。ただし、完璧ではない。クラムシェル型の携帯電話が盛り返している中で、この分野に参入する企業が増えており、競争は激化している。2023年に入って、サムスンの「Galaxy Z Flip5」とMotorolaの新しい「razr+」(米国以外の市場では「razr 40 ultra」という名称)が登場し、クラムシェル型スマホに期待される水準が高くなった。Galaxy Z Flip5とrazr+は耐久性やカバー画面のサイズ、パフォーマンスでFind N3 Flipよりも優れている。入手のしやすさという点でも、おそらく優位に立っているはずだ(特に米国の場合)。

 価格は16GB+512GBの場合、1499シンガポールドル(約16万4000円)で、現地時間10月20日から予約受け付けが始まっている。

  1. やや窮屈なデザイン
  2. 有用性が向上したカバー画面
  3. 内部ディスプレイと折り目、ヒンジ
  4. 4つのカメラを搭載
  5. バッテリーとパフォーマンス
  6. 結論

やや窮屈なデザイン

 OPPOによると、Find N3 Flipの縦長の画面は、3つのカメラをフロントカバーに配置するためのスペースを残しているという。だが、その代償として、2つの小さなカメラの出っ張りが縦に配置されていたN2 Flipと比較すると、フロントカバーのデザインが窮屈になっている。

 最も大きな変更の1つは、OPPOが「Cosmos Ring」(コスモスリング)と呼ぶ、新しい円形のカメラバンプだ。2022年後半に発売された華為技術(ファーウェイ)の「Pocket S」を連想させる。

 もう1つの新機能はアラートスライダーである。これは、OnePlus(OPPOの子会社)が普及させたハードウェアスイッチで、サウンドモードとサイレントモード、バイブレーションモードを簡単に切り替えることができる。筆者はアラートスライダーを頻繁に使用するようになったので、OPPOがこの変更を実施してくれたことをうれしく思っている。

 Find N2 Flipの側面が角張っていたのに対し、Find N3の側面は丸みを帯びている。カラーバリエーションは、ブラック、ライトピンク、ゴールドが用意されている(地域によって異なる可能性がある)。OPPOが筆者に送ってくれたライトピンクのモデルは、繊細で上品に見える。

Find N3 Flip
提供:Sareena Dayaram/CNET

 Find N3 Flipには、ブランド名のロゴもいくつか印字されている。例えば、カメラバンプにはHasselblad、背面にはOPPOのロゴがある。これらのロゴも、デザインを少し窮屈に見せている要因であるように感じられる。

Find N3 Flip
提供:Patrick Holland/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
提供:Patrick Holland/CNET

 残念ながら、OPPOは今回も少し隆起したカバー画面を採用している。指を滑らせると画面の端が感じられ、そのせいで、優雅なデザインの印象が弱まってしまう。Find N2 Flipでも、同じ問題があった。

 N3 FlipはIPX4の防滴性能を備えているが、これはrazr+とGalaxy Z Flip5に劣るということにも言及しておくべきだろう。IPX4は、多少の雨がかかったり、飲み物をこぼしたりしても耐えられることを意味する。ただし、防塵ではない。一方、Motorolaのrazr+はIP52を取得しているので、防滴性能と防塵性能の両方を備える。Galaxy Z Flip5はIPX8を取得しており、一定の深度と時間の水没に耐えられるが、防塵規格は取得していない。

Find N3 Flip
提供:Sareena Dayaram/CNET

有用性が向上したカバー画面

 Find N3 Flipの新しいカバー画面用ソフトウェアはシンプルで直観的だと感じた。上にスワイプすると通知、下にスワイプすると各種制御ウィジェット、左にスワイプすると他のカバー画面アプリが表示される。

Find N3 Flip
Find N3 Flipではカバー画面がサードパーティアプリに対応するようになった
提供:Oppo

 カバー画面は、「Gmail」「YouTube」「Googleカレンダー」「Reddit」「Spotify」「Googleマップ」などの人気アプリをサポートするようになった。これは、設定アプリの「Labs」機能を使用して有効化できる。2022年のFind N2 Flipでは、カバー画面上でサードパーティー製アプリを実行できず、使いやすさが制限されていたので、重要なアップグレードだ。ただし、OPPOによると、将来的に、同じアプリ群をカバー画面で実行できるようにするソフトウェアアップデートがN2 Flipに提供される予定だという。

 Googleカレンダーや「Google Keep」、Googleマップ、Gmailなどのアプリをカバー画面で使ってから本体を開き、大きなメイン画面で使用する一連の流れは、シームレスだった。作業を中断したところからすぐに再開でき、筆者の生産性も向上した。

Find N3 Flip
提供:Patrick Holland/CNET

 だが、内側の画面からカバー画面に移行するときの体験は、全くシームレスではなかった。内側の画面でアプリを使って本体を閉じると、選択した設定に応じて、カバー画面はすぐにオフになるか、数秒間点灯した後でオフになるかのどちらかだった。したがって、内側の画面で実行していたアプリをカバー画面から再度呼び出さなければならず、作業の流れが遮断された。

 市販のフリップ式折りたたみスマホで、内側画面からカバー画面に移行するときに真にシームレスな体験を提供できるものは1つもない。それに最も近い体験を提供するのはMotorolaのrazr+で、タップすると中断したところから再開できるアイコンがカバー画面に表示される。OPPOがFind N Flipシリーズの今後のバージョンで、アプリとソフトウェアの双方向の連続性を実現する機能を追加してくれることを期待したい。

 Find N3 Flipのカバー画面には、フルキーボードもない。つまり、razr+やGalaxy Z Flip5のように、カバー画面からメールを打つことはできない。OPPOの縦長のカバー画面のデザインでは、フルキーボードを表示するスペースがないので、これは仕方のないことだと思う。ディスプレイの横幅が狭すぎて、まとまった文章を入力できないからだ。ならば、Gmailなどのアプリに音声テキスト変換機能を追加してもらえるとうれしい。

内部ディスプレイと折り目、ヒンジ

 内側の6.8インチAMOLED画面を初めて見たとき、折り目は見えなかった。だが、明るい環境で、本体を特定の角度に動かすと、折り目を確認できた。動画の視聴、メールの閲覧、ニュースフィードのスクロールなどをしているときは、折り目はほとんど気にならず、体験が損なわれることはなかった。

 内側のディスプレイの幅は75.78mmで、競合の折りたたみスマホよりも横長だ。幅が広いので、片手では操作しづらく感じるが、そのおかげで、標準的な縦長のスマホに近い操作感にもなっている。このディスプレイでニュースを読んだり、ソーシャルメディアをスクロールしたり、動画を視聴したりするのは快適だ。OPPOはカメラアプリでも折りたたみのデザインを有効に活用しており、本体の下半分を三脚のように安定させるために使える。

Find N3 Flip
提供:Sareena Dayaram/CNET

4つのカメラを搭載

 今回改良されたのはカバー画面用ソフトウェアとヒンジだけではない。カメラモジュールもアップグレードされている。Find N3 Flipには、5000万画素のメインカメラ、4800万画素の超広角カメラ、3200万画素の新しい望遠カメラ、3200万画素の前面カメラが搭載されている。超広角カメラは、解像度がFind N2 Flipから向上しているうえ、望遠レンズも新たに追加された。

 全体的に、撮影した写真は鮮やかでシャープだった。これは、明るい照明環境で特に顕著だった。Find N3 Flipは、さまざまな種類のカメラを搭載し、マクロ写真もサポートしているので、多種多様な写真を撮影可能だ。

Find N3 Flipで撮影した写真
ポートレートモードで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET

 しかし、微妙な照明環境では、写真が実際よりぼやけたり、影が多くなったりすることもあった。Galaxy Z Flip5は手元になかったが、2021年発売の「iPhone 13 Pro Max」で撮影した写真と比較したところ、筆者はiPhone 13で撮影した写真の方が好みだった。このことは、折りたたみスマホのカメラ性能が、多くの場合、通常のスマートフォンに劣ることを改めて示している。物理的・技術的制約のあるフリップデザインのスマートフォンを使用するうえで、カメラの性能に制限があることは仕方のないことだ。

Find N3 Flipで撮影した写真
黄みがかった照明下で撮影した写真。背景の白い壁が実際よりも白く映っている
提供:Sareena Dayaram/CNET

 驚いたことに、このスマートフォンのおかげで、筆者は自撮り写真を撮影するのが大好きになった。カバー画面が背面カメラのビューファインダーとして機能するため、本体を開かなくても自撮りできた。近くに平らな面があれば、開いた状態(OPPOはこの状態を「FlexForm」と呼んでいる)でFind N3 Flipを置いて角度を付け、ハンドジェスチャーで写真を撮ることもできただろう。超広角の背面カメラがあるので、グループ写真で全員をフレーム内に収めるのも簡単だ(しかも、フレームを見ながら撮影できる)。

Find N3 Flipで撮影した写真
超広角カメラで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET

 Find N3 Flipで撮影した写真をもう少し掲載しておこう。

Find N3 Flipで撮影した写真
メインカメラで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
明るい環境ならメインカメラではっきりした正確な色味の写真を撮影できる
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
超広角カメラで曇りの日に撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
メインカメラ(1倍)で撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
2倍ズームで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
20倍ズームで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
超広角カメラで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
デフォルト(1倍)ズームで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
2倍ズームで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
5倍ズームで撮影すると、前方の被写体ははっきりしているものの後方はぼやけている
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
20倍ズームの写真は水彩画のような見栄えだ
提供:Sareena Dayaram/CNET
Find N3 Flipで撮影した写真
提供:Sareena Dayaram/CNET

バッテリーとパフォーマンス

 Find N3 Flipは4300mAhのバッテリーを内蔵しており、普通に使う分には、1回の充電で丸1日十分に使用できた。レビューでは、何回かの通話、電子メールの閲覧、YouTube動画の視聴、インターネットの閲覧、ホットスポットの共有をした。最終的にバッテリーが切れたときも、付属の44Wの電源アダプターのおかげで、比較的短時間で充電できた。30分もしないうちにバッテリー残量は半分以上(58%)に回復し、1時間以内に完全に充電できた。

 またレビューでは、バッテリーの耐久性テストも実施し、YouTube動画を視聴する、ソーシャルメディアをスクロールする、ビデオ通話に参加する、ということを45分間にわたって行った。その間、バッテリーは100%から89%まで低下した。参考までに、同じテストを行ったときのバッテリー減少量は、Galaxy Z Flip5は10%、Motorolaのrazr+はわずか7%だった。

 Find N3 Flipには、MediaTekの「Dimensity 9200」チップセットが搭載されている。筆者のテストでは、低負荷のゲームや動画の視聴、ニュースフィードのスクロールといった日常的なタスクは円滑に処理できた。しかし、以下の性能テストでは、Galaxy Z Flip5で採用されているQualcommのチップ「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」と、2022年に発売されたMotorola razr+の「Snapdragon 8+ Gen 1」がDimensity 9200を上回った。

Geekbench 6

Geekbench 6のスコア

3D Mark Wildlife Extreme

3D Mark Wildlife Extremeのスコア

結論

 Find N3 Flipは堅実な折りたたみスマートフォンだ。信頼性の高い3つの背面カメラ、急速充電、安定したパフォーマンス、ますます使いやすくなったユニークなカバー画面を備えているので、期待を裏切られることはないだろう。おそらく、縦長のカバー画面を備えた唯一のフリップ式折りたたみスマホがどうしても欲しいという人に対しては、本製品の購入をお勧めするだろう。この独自のデザインは、他機種との差別化要因だからだ。

 Find N3 Flipには、Galaxy Z Flip5とMotorola Razr+という強力なライバルがいる。サムスンもMotorolaもデザインを徹底的に見直して、改善を図っている。どちらのメーカーも、カバー画面は前面パネルの上半分のほぼ全体を占めるほどの大きさなので、それに比べると、Find N3 Flipのカバー画面は小さくて、実用性が低いように感じる。

 それでも、OPPOのFind N3 Flipには、個性的な特徴がたくさんあり、折りたたみスマホでは珍しい望遠カメラも搭載されている。数々のユニークな機能のおかげで、競争が激化するクラムシェル型スマホ市場で存在感を発揮できるかもしれない。

Find N3 Flip
OPPOはFind N3 Flipに60万回の折りたたみ試験を実施したという
提供:Patrick Holland/CNET

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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