筆者は2週間ほど、「Galaxy S24」シリーズの2モデルだけを使って過ごした。筆者個人のT-MobileのSIMカードを「Galaxy S24+」に、Mint MobileのeSIMを標準モデルのGalaxy S24にそれぞれ差している。朝から晩まで普段どおりに使ったが、特に目玉の新機能は重点的に使い、写真と動画も通常より多く撮影した。カメラのスペックは、カタログだけ見ると、2023年モデルの「Galaxy S23」シリーズと基本的に変わっていないのだが、目立った違いがあるかどうか、確かめるためだ。
新しい「Galaxy AI」の機能も使ってみた。複数の言語(中国語と韓国語)を話す家族や友人との間で「Live Translate」や「Text Call」を試してみたり、「Generative Edit」で画像を新たに編集したり、日常生活が便利になる実用的な機能を使った。現時点で、うまくできていると感じた点と、そうでもない点をまとめてみた。
フラットになって洗練されたデザイン:2024年モデルのGalaxy S24とS24+は、どちらも弁解の余地がないほど「iPhone 15」に似ている。エッジがフラットになり、ベゼルは均等で、新しくなった「One UI」インターフェースのロック画面や常時オンの動作は、「iOS 17」を思い出させる。本体の両側にあるアンテナの部分も、ほとんど同一だ。
何が言いたいかというと、筆者は「iPhone」の最近のデザインをとても気に入っているが、サムスンの方がデザインのレベルが一段上ということだ。ベゼルは狭くなり、ホールパンチカメラが占めるスペースも小さい。側面がサテン仕上げになったので、2023年モデルの光沢仕上げより高級感を感じさせる。街中ではケースを付けずに持ち歩いているが、アンバーイエローのS24+も、コバルトバイオレットのS24も、間違いなく際立っていた。
2600ニトの輝度は概ね優秀:Galaxy S24シリーズで大きなアップグレードとなったのが2600ニトのディスプレイで、これはライトユーザーにもパワーユーザーにもメリットだ。ニューヨークの街を移動しているときでも、屋外でカメラ機能を試しているときでも、撮影時に目を細めることはなかったし、輝度の自動調整がオフになったのかと戸惑うこともなかった。クイックパネルのスライダーが、くっきり明るい状態から真っ暗まで下がったときの暗さも十分だった。
高輝度ディスプレイについて感じている問題が1つあるが、これは必ずしもサムスンの責任ではない。HDR再生に伴う問題だ。HDR撮影した動画を「Instagram」「YouTube」「Gallery」といったアプリで再生すると、Galaxy S24ではディスプレイの輝度が自動的に上がる。これは、昼光のもとでなら生き生きと鮮やかに見えるのだが、夜間に暗いニュースばかり見ているときや、呼び出したUberで帰宅しているときなどには、不快なほどまぶしい。この点はiPhoneでも以前から問題になっていたため、Instagramは再生時の動作をオフにする切り替え設定を「iOS」に追加している。それと同じオプションが「Android」にはないのだ。
カメラシステムは問題なし:Galaxy S24のカメラシステムを一言で表すとしたら、「信頼できる」だろう。S24とS24+のどちらも、トリプルカメラアレイは2023年のGalaxy S23シリーズとほぼ同じなので、引き続き50MPのメインカメラ、10MPの3倍望遠、12MPの超広角が使える。だが、S24シリーズでは新たに「ProVisual engine」が採用された。サムスンによると、被写体を背景と区別する機能が向上し、色の再現性が上がって、画像の不鮮明さやブレが低減するという。
筆者のテストでも、さまざまな光の条件下で写真と動画を撮影したところ、概ねディテールが良好で鮮明な画像/映像が得られた。これ以前には「OnePlus 12」と「Pixel 8 Pro」を使っていたので、彩度とシャープネスが上がるのは予想外だったが、サムスンのスマホは光の取り込みと処理が他社より強めということを、すぐに思い出した。撮影後の編集処理を行わずに、色鮮やかな写真や動画を残したいという人には、いい特性だ。
筆者が特に感心したのは、3つのカメラ間で色が一貫していることだ。広角、望遠、超広角のレンズを切り替えながら動画を撮影するとき、この特性は欠かせない。筆者の場合は、米ZDNETのショート動画のために映像を撮影することが多く、肌の色などの繊細な色の見え方が違ってしまうとがっかりさせられる。
OSとセキュリティのアップデートを7年間提供:これは大きなメリットだ。サムスンが、Android OSとセキュリティアップデートの扱いについてGoogleと肩を並べるというだけではなく、サードパーティーのシステムオンチップ(SoC)であるQualcommの「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載したうえでそれを実現するからである。つまり、自社の「Tensor」チップを採用しているGoogleと違って、サムスンは7年間続くそのソフトウェアサポートを遂行するために、Qualcommとも協力しなければならないということだ。これは、前例のない偉業になる。
もちろん、そのアップデートのリリースに関してどのくらいの信頼性と一貫性が保たれるかは未知数であり、キャリア独自のバージョンは独自のスケジュールで運用されることも多い。確かなのは、Galaxy S24が今後7年間、One UIおよびAndroidの最高の機能を提供されるということで、これはサムスンのユーザーにとって、かなりのメリットだ。
今回のGalaxy S24シリーズで目玉となっているのは、サムスンのデバイス搭載型とクラウドベースのGalaxy AI機能だ。Googleの「Gemini Pro」および「Imagen 2」の両モデルを活用して提供される。「メッセージ」や「電話」、「ギャラリー」などの一般的なサービスに複数のツールがシームレスに組み込まれているので、役に立つ機能から使うだけで楽しい機能まで、筆者が特に気に入ったものを挙げてみた。
結局のところ、Galaxy AIの機能のうちどれが最も役に立つかは、使う人次第だ。筆者のパートナーが「Photomoji」に夢中なのを見てもそれは分かる。サムスンのAIツールのすべてに、または一部に価値を見いだす人もいるだろうし、便利さを全く感じない人もいるだろう。それで構わないのだ。サムスンがいずれクラウドベースのAIサービスを有料にするかどうかも、まだはっきりしていない。同社は、米国の製品ページでGalaxy AIについて、「2025年末までは無料」で提供されると記載している。
「Qi2」のサポート:サムスンも支援している最新ワイヤレス充電技術のQi2規格は大きな話題になったが、Galaxy S24シリーズでは採用されないことが判明し、残念な結果に終わった。今回の見送りの理由として、サムスンは需要の不足をあげているが、最も近い競合であるAppleが5カ月も前に出したiPhone 15で、すでにQi2の高速充電規格に対応していることを考えると、それが真の理由かどうかは疑わしい。
有線充電の高速化:充電に関連して言うと、OnePlus 12の80W有線充電からGalaxy S24の25W充電に切り替えたことで、筆者の消費者としてのライフスタイルは劇的に変化した(S24+の方は45W出力に対応するものの、充電のし始めは確かに高速だが、バッテリー残量が60~70%になると、速度が大幅に落ちる)。S24とS24+のどちらも、バッテリーの持続時間が長いのは満足だが、フル充電には1時間半ほど待たなければならず、この点は改良の余地が多いと感じる。
筆者はまだ、サムスンの最新スマホが備える性能のうち、ほんの表面をなでたにすぎない。それでも、2024年に買いのスマホとして、Galaxy S24+を推すと言わざるを得ない。プロフェッショナルのユーザーに対しても例外ではない。新しいQHD+ディスプレイ、Galaxy AIの各機能、そして基本モデルでも12GBのRAMと256GBのストレージで、価格も現時点で「Galaxy S24 Ultra」より300ドル(約4万5000円)安いので、購入候補としてはこちらの方が魅力的だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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