電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を展開するLuupは3月18日、同月最終週から「ナビ機能」の試験提供を開始すると発表した。
LUUPのライド開始時に、アプリ画面に出発ポートから目的地ポートまでの推奨ルートを表示する。利用者のルート選択を適切にサポートすることで、快適な利用体験の実現と、その結果として自動車・歩行者との接触による交通事故、交通違反の減少につながることを目指す。
2023年7月の改正道路交通法の施行により、LUUPなどの基準を満たす電動キックボードは、新設された「特定小型原動機付自転車」(特定小型原付)に位置づけられた。
最高時速20kmの制限で車道の左側端を走行できるとともに、最高時速6kmのモードに切り替えることで、特定の標識のある歩道の走行も可能となった。
一方、警察庁によると、改正法施行後の特定小型原付による交通違反行為は、「通行区分違反」が最多になるという。
Luup 代表取締役社長 兼 CEO 岡井大輝氏は、「走行場所に関する違反が大半で、『時速6kmモード』を使用せずに歩道を走行するケース。次いで多いのが信号無視で、足すと(違反数の)ほぼ9割」と説明する。
またLuupは、違反に対して取れるアクションとして、“走行前の注意喚起の強化”と、“走行時の取り締まり・ペナルティの強化”という2点に取り組んでいる。ナビ機能は“そもそも違反につながらないような走行を促す"第3の施策にあたるという。
「信号無視は論外として、少し早いスピードでユーザーが歩道に入ってしまう場合は、知っていたがバレなければ(走っても)いいかという慢心が招くもののほか、(違反を)するつもりはないが、いざ新しい道に来ると大通りで車の往来が多い、自転車レーンに路上駐車が多くて逃げられないなどが理由という声が一定数ある。車両の往来が激しい、路上駐車が多いといった道を走行させないようにすれば、ユーザーが違反を犯したくなる機会を根本的に減らせる。車道に車がいない道であれば、わざわざ歩道を選ぶユーザーはいない」(岡井氏)と、ナビ機能を提供する理由を話す。
ナビ機能は、自転車に適したルートを検索できる「NAVITIME API」を活用して提供。交通ルールが類似する自転車のナビを土台に、特定小型原付向けにカスタマイズしたという。アプリ内にナビ機能を導入するマイクロモビリティのシェアリングサービスは日本初になるとしている。
具体的には、LUUPのアプリ画面に、出発ポートから目的地ポートの推奨ルートを表示する。目安となる所要時間もわかるほか、進行方向に合わせてナビの方向も切り替わる仕組みだ。
あくまで試験提供の開始という位置づけのため、サービス開始当初は、都内かつiOS端末のみが対象。また、推奨ルートは車の通行量のほか経路の距離、所要時間などのバランスを考慮して算出するため、場合によっては遠回りなルートを表示することもあるという。
音声ガイダンス機能はないが、現在地に対してマップ画面が追従する自動追従機能、夜間でも画面が見やすいダークモードといった機能は開発する予定としている。
岡井氏は、「LUUPは、目的地(となるポート)を先に決めないと利用できない。また、全車両にスマホホルダーを装着しているため、スマホを手で持つ“ながら見運転”にあたらない。この2個がそろっているので、ナビ機能を提供してもユーザーが安全に乗れる準備ができている」と話す。
試験提供の期間はユーザーからの声の集まり具合によるが、あくまで正式提供を前提とした機能であるとのこと。効果を確認でき次第、日本中への移行、Android対応などを進めるという。
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