東急は3月12日、スタートアップを中心とした企業との事業共創を推進する「東急アライアンスプラットフォーム」(TAP)の2023年度DEMO DAYを開催した。厳選された6チームのプレゼンテーションが実施され、最優秀賞である「東急賞」(グランプリ)、「渋谷賞」(準グランプリ)、「二子玉川賞」「SOIL賞」の4つと受賞の様子を配信したYouTube Liveの視聴者が選出する「オーディエンス賞」が選ばれた。
TAPは、2015年度にスタートアップ企業などとの事業共創を図る「東急アクセラレートプログラム」として開始。2021年度には、東急アライアンスプラットフォームに名称変更し、再スタートを切っている。累計応募数は1062件にのぼり、126件のテストマーケティングや協業、44件の事業化や本格導入、8件の業務、資本提携に結びついていることが特徴だ。
登壇した6チームは、以下の通り。
東急グループ側の代表が、共創を実施したプロジェクト内容を1分で説明した後、スタートアップ側の代表者が会社の紹介と技術やサービス内容、共創にいたった背景などを6分で話し、その後審査員との質疑応答が5分という流れ。審査員は、SBIインベストメント 取締役執行役員CVC事業部長の加藤由紀子氏、ポーラ・オルビスホールディングス 総合企画室コーポレートベンチャーキャピタル担当の岸裕一郎氏、デロイト トーマツ ベンチャーサポート Morning Pitch運営統括の永石和恵氏と東急 取締役社長の堀江正博氏、常務執行役員フューチャー・デザイン・ラボ管掌の東浦亮典氏が務めた。
東急賞に選ばれたのは、フードリボン。沖縄を拠点に、パイナップルやバナナの収穫時に出る葉や茎から繊維などを生み出し、農家に新たな収入源を創出する仕組みを構築しているという。東急電鉄が推進している田園都市線地下5駅のリニューアルプロジェクト「Green UNDER GROUND」と連携し、「駒沢大学駅前 地域循環プロジェクト“KOMAZAWA MOAI FARM”」という地域循環の取組みを2023年5月から約半年間実施したという。
審査委員長を務めた堀江氏は「審査にあたってはとにかく僅差。それぞれの提案が非常に魅力的で、最後は審査員全員が目をつぶって手を挙げるという小学校以来のやり方で決めるぐらいの接戦だった。その中でもフードリボンは、東急グループと幅広いアラインアンスの可能性があること、未利用資源の活用とサーキュラーエコノミーの浸透につながること、農作物生産者の新たな収入を生み出せるところが高く評価された」と受賞理由を話した。
渋谷賞には、苔を用いた新たなライフスタイルの提案と、苔を広めるさまざまなプロダクトを製作するグリーンズグリーンが受賞。Green UNDER GROUNDの第2弾として、桜新町駅で、東急電鉄と共同で地下駅構内の未利用空間を活用した苔栽培による空気清浄化検証を実施しており、栽培に必要な潅水には地下鉄道内の湧水を活用することで、下水道処理水量を削減しながら緑が少ない地下空間の植生へ挑戦した。
二子玉川賞には、見えない設備を見える化する「配管くん」を開発提供する弘栄ドリームワークスが選ばれた。2023年9月に東急線駅舎における雨水管の配管経路調査及び図面化、2024年1月にも東急線駅舎における給水管、排水管、雨水管の配管経路調査及び図面化に取り組んでおり、配管の図面化に加え、洗浄なども請け負うという。弘栄ドリームワークスは、オーディエンス賞にも選ばれ、ダブル受賞となった。
堀江氏は「今日審査員の方とお話した中で嬉しかったのは、TAPの良いところは共創する側、つまり東急側のプレゼンがあるのは、ほかのプログラムにはないところとお褒めいただいたこと。共創する双方が同じステージに立って同じ思いを語る、これはおそらく事業共創の第一歩ではないかと思う。優れたプレゼンテーションをしても、一緒に実現するパートナーがいなければアイデアだけに終わってしまう。そういった意味でも私たちは、いただいたアイデアをうまく事業につなげ、まちづくりにつながるように取り組んでいけたらと思っている」と思いを話した。
TAPは、24時間365日応募を受け付けており、応募月の翌月中旬には検討結果を一次回答するなどスピード感のあるプログラム。2023年度デモデー各賞を受賞した対象企業は、テストマーケティングなどの事業共創を開始、もしくは実施することが決定した企業が対象になっているとのこと。デモデー後は、引き続き事業共創を進めていく予定だという。
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