生成AIで治験手続きを効率化--アガサ、治験・臨床研究の文書管理クラウドサービス「Agatha」

 アガサは3月6日、治験文書管理クラウドシステム「Agatha」において、生成AIを活用した治験手続きの効率化機能の提供を7月に開始すると発表した。

 
 

 日本における年間の製薬R&D費1.8兆円のうち、約半数の7600億円が製薬企業および、医療機関の品質管理コストになるという。

 主に人件費や、対面コミュニケーションのための移動費などに使用されているのが現状。治験・臨床研究領域においては、米国・欧州はすでにIT導入による生産性向上が進められており、日本でも追随の必要性が高まっている。

 
 

 そうした背景の中、日本の治験のコスト高により、海外の製薬企業が日本で治験を実施しないケースが増加。結果として、海外では承認されていても日本国内未承認のため、使用する薬が限られてしまうドラッグロス増加の原因にもなっている。

 そこで同社は、治験文書の効率的な管理を通じて、コスト削減・スピードアップし、日本の治験環境の国際競争力を強化。さらには、ドラッグロスをなくすことを目的に、生成AIを活用した機能の開発を決定した。

 同社では、手入力によるミスを防止することで品質向上をサポートし、治験環境の改善につなげ、海外で利用できる医薬品が日本では使えない状況をなくしたいという想いで開発したという。

 
 

 同機能では、従来、手作業で行われ時間や人件費がかかっていた文書作成および、アップロード、文書内の必要事項の確認、報告書の作成などの自動化が可能だという。

 具体的には、治験の協力者からの同意書が人数分あるか、日付に齟齬がないかなど、治験に必要な書類が全て医療機関ごとのフォルダに格納されているかチェックする工程を自動化する。

 現状、治験の同意書などの必要書類は、製薬会社から受領したデータをもとに各病院独自のフォーマットに作り直したり、必要書類の目視確認が発生したりという工程が生じている。

 必要な書類情報とフォルダ内の情報を照らし合わせ、報告書を作成する部分まで自動化することで、より安全な治験の実施が期待できるという。

 さらには、生成AIを活用し、医療機関のフォーマットに合わせた文書を自動作成したり、必要な情報を自動でシステムに転記したりなど、文書作成の時間を短縮。

 
 

 将来的には、同社のシステムだけでなく、他システムとの連携や多言語対応も予定。より多くの製薬会社・医療機関の業務効率化を視野に入れている。

 加えて、生成AIにより各医療機関の文書保管ルールを学習させ、自動でファイル名を作成することが可能。医療機関ごとに異なる構成のフォルダであっても、自動でアップロードできるという。

 日本の治験業界において、生成AIを活用した手続き業務・ペーパーワーク効率化が可能なプロダクトはAgathaが初になるとしている。

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