Appleのヘッドセット「Vision Pro」は、バレンシアガの靴のようなものだ。高額で、未来を思わせる見た目と装着感を持ち、買うべき人は限られている。しかし、もしあなたが、Apple初の空間コンピューターのアーリーアダプターを自称する数千人のうちの1人だとしたら、この記事はあなたのためのものだ。
筆者はこの1週間、やや長すぎるほどの時間をVision Proに注いだ。まだ、Vision Proを装着して車に乗ったり、お気に入りのレストランで食事をしたりはしていないが、このヘッドセットでやるべきこととやってはいけないことは、十分に理解した。
以下では、「やってはいけないこと」を紹介する。当たり前のことではあるが、3499ドル(約52万円)を無駄にしたくないのであれば、注意しておいた方がよい事柄だ。どうぞ読んでほしい。
これは、Appleが2023年にVision Proを初めて発表した時に、メガネをかけている筆者が最初に抱いた疑問の1つだ。Appleの最高経営絵責任者(CEO)であるTim Cook氏はメガネをかけているので、このヘッドセットは何らかの方法でメガネに対応しているはずではないか。しかし、簡潔に言うとその答えはノーで、それには複数の理由がある。
まず基本的に、Vision Proのクッションの間にメガネを押し込んで、後頭部と耳の上に巻き付けたヘッドストラップを締め付けなければならないとすると、使用感はかなり不快だ。ヘッドセットはそもそも前面が重いのに、メガネをかけたまましっかりフィットさせようとすると、不快感は増すばかりだ。
それをやると、Vision Proの内側レンズに傷が付き、ディスプレイ品質とアイトラッキング機能が低下する可能性もある。ZEISSの視力矯正レンズを購入するのが、より安全な唯一の解決策だ。ZEISSのレンズは、処方箋が必要なもので149ドル(約2万2000円)、シンプルな度付きレンズは99ドル(約1万5000円)と安くはないが、3499ドルの出費を無駄にしてしまう確率は低くなる。
「visionOS」のさまざまな没入感あふれる背景の中では、非常に簡単に我を忘れてしまう。「Encounter Dinosaurs」のような世界に入りこむと、思わず椅子から立ち上がりたくなる。そうなったときに、筆者と同じ間違いをしないように、外付けバッテリーパックは常に体に取り付けておくか、ポケットに入れておくことだ。
筆者はVision Proを初めて使用した日に、バッテリーパックを自分の隣に置いたことをすっかり忘れて、拡張現実(AR)アプリ「JigSpace」で実寸大のフォーミュラ1カーをよく見ようとして立ち上がってしまった。すると、353gのバッテリーパックが本体からぶら下がった状態になり、ヘッドセットが顔の片側を強く引っ張る形になった。もし、車のエンジンか運転席を上からのぞき込むような姿勢だったら、Vision Proが頭から外れて、3499ドルが目の前を滑り落ちていたかもしれない。
それ以来筆者は、バッテリーパックをズボンのポケットに入れるか、サードパーティー製のホルダー(例えばBelkin製のもの)で体に取り付けている。
数字のパスコードはVision Proを装着するたびに必要で、これを忘れてしまった場合、解決策はあるが理想的とは程遠い。米国時間2月5日のBloombergの記事によると、Vision Proのロックが解除できなくなった場合は、店舗に持ち込むか、「AppleCare」のカスタマーサポートに送り、すべてのデータを消去してリセットしてもらわなければならないという(編集部注:その後、12日にリリースされたvisionOS 1.0.3で、パスコードを忘れた場合にデバイスをリセットできるオプションが追加された)。
Vision Proこの記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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