デジタル大臣を務める河野太郎氏は1月26日、令和6年能登半島地震の被災者にJR東日本の交通系ICカード「Suica」を配布すると発表した。
被災地では1次避難所から1.5次、2次避難所へ移動する人、あるいは避難所以外で生活している人が増えている。この過程で、被災者の居場所や、避難所の利用状況の把握が難しくなっている。
こうした課題に対して、デジタル庁と防災DX官民共創協議会は、石川県からの要請を受け、JR東日本のSuicaを活用した避難者情報把握ソリューションを来週にも構築する。
具体的には、石川県内の1次避難所の利用者にSuicaを配布し、氏名や住所といった情報を紐付ける。そして、1次避難所の入退出などの際に、リーダーに自身のSuicaをかざすようにする。
河野大臣は「1次避難所では、夜間は親戚の家に泊まったり、車中泊をする人など、さまざまなユースケースがある」とし「この取り組みによって、物資などの支援の効率化が可能になる」と述べた。
また「石川県の要請から数日で具体的な提案をできた。デジタル庁では、同プロジェクトのために職員を2人を石川県へ派遣する」とも述べた。プロジェクトの実施にあたっては、JR東日本からSuicaカードを約1万8000枚、リーダー約350台の無償提供を受けたことも明かした。
なお、政府はマイナンバーカードの防災活用を掲げているが、なぜ今回はSuicaを使用するのか。こうした疑問に対して河野大臣は「本来はマイナカードでやるべき」としつつ「(NFC)Type-Bに対応したカードリーダーが用意できなかったため、今回はSuicaで代替した」と説明した。
一方で、Suicaで代替したことで、被災者情報とSuicaを手作業で紐付けるなどの事務作業が発生すると指摘。「マイナンバーカードならこうした作業は発生しない」と述べた。
また河野大臣は、マイナンバーカードを常に携行する重要性も訴えた。
「マイナカード機能を搭載したAndroidスマートフォンでも良いが、マイナカードを平時からお財布に入れて携行していただくのが大事。(災害が起きて)家族がバラバラになっても、避難所のリーダーにかざせば、誰がどこにいるのか把握できる。カードを持っていない人は手書きで登録すればいいが、カードの携行率が高ければ、事務作業なしに避難所への入所登録が可能になる」(河野大臣)
河野氏は「今後はマイナカードの普及率だけでなく携行率を何らかの形で見ていく必要がある」と付け加えた。
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