フォトシンスは、スマートロックを活用した「Akerun入退室管理システム」を展開している。このAkerun入退室管理システムをオープン当初から導入しているのが、東急田園都市線「溝の口」駅から徒歩2分の場所にあるシェアオフィス、「nokutica」(ノクチカ)だ。nokuticaは2017年、不動産賃貸管理会社のエヌアセットが、築90年の診療所兼住宅だった遊休不動産を改修しオープンした。
エヌアセットは、nokuticaでテクノロジーをどのように活用し、築90年の遊休不動産を地域のコミュニティ拠点として再整備したのか。エヌアセットで取締役事業企画部部長を務める山下直毅氏に、話を聞いた。
山下氏は遊休不動産だったnokutica企画の経緯について、「質感のある建物だったので、オーナーさんと相談し、壊して新しいものに建て直すという不動産業界でよく見る活用の仕方は避けようと思った。理想は、街に人を集められるようなランドマーク的な建物にすることだった」と語る。シェアオフィス、レンタルスペース、コワーキングスペースとしてオープンすることになった際は、人が集まる施設になるようエントランスの設計から議論が始まり、2坪のコーヒースタンド「アベコーヒー」を入れることが最初に決まった。
改修工事の際は、配線経路や電気設備など入れ替えざるを得なかったものもあるが、古い部分をなるべくそのまま活用したという。
「その中で、鍵をどうしようかという話になったとき、Akerun以外の選択肢はほとんどなかった。時間ごとの細かい権限付与ができるなど、われわれが望む機能を備えているのはAkerunだけだった」と山下氏は当時を振り返る。
nokuticaをコワーキングスペースとして利用する際、6時から23時までのフルタイムプランから、平日の午前中と土日祝日のプラン、平日夜と土日祝日のプランなど、都合に応じてさまざまなプランを選ぶことができる。利用者はプランに応じて、受付担当者などがいない時間帯にはAkerunのアプリからドアを解錠でき、アプリが使えない場合に備えてICカードも付与される。キーをなくしたなどのトラブルがあった際は、エヌアセットの管理者が遠隔操作でドアの施解錠を行うことも可能だ。平日は20~30人、土日祝日は40~50人の利用者がnokuticaを訪れるという。
「エヌアセットは、賃貸仲介事業などで約4000室の鍵を管理している。業界では物理的な鍵がまだ主流だが、鍵の管理はかなりコストがかかる上、ミスも多い。電子キーに置き換えていこうという動きはあるものの、時間ごとに細かく権限を付与できるなど、ニーズに合ったものはまだ少ない」と、山下氏は業界の現状について話した。
Akerunは、外部システムとのAPI連携も可能だ。nokuticaでは顧客管理システムの「station」と連携し、決済はアプリ上で行われるため、施設は基本的にキャッシュレスで運営されている。またstationは、利用者に告知を出したり、利用者自身がイベントを発信したりできるため、コミュニティツールとしても活用されているという。
「溝の口は都心に近い便利な街というだけではなく、町内会ごとにお神輿があったり、秋に例大祭があったり、歴史のある土地。近隣の二子玉川やたまプラーザとはまた違う魅力をアピールして、この街に住みたいという人を増やしていきたい」と、山下氏は今後の展望を語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」