日本電信電話(NTT)は11月17日、公式X(旧Twitter)アカウントの「NTT広報室」を更新。楽天グループで代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏の投稿を引用する形で、三木谷氏の主張に反論した。
NTT法の議論を巡っては、NTTの完全民営化に反対する三木谷氏が11月15日にXを更新。「NTT法を廃止して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるのは、料金値上げにつながる愚策」などと投稿 し、KDDIやソフトバンクのトップも「NTTは国税で作り上げた莫大な資産を引き継いでいる」などとして三木谷氏に同調していた。
こうした一連の投稿に対してNTT広報室はX上で「保有資産は最終的には株主に帰属するので、この主張(国から莫大な資産を受け継いでいるNTTの完全民営化に反対)はナンセンスな話」と反論。
また、「KDD(KDDIの前身の1つ)が電電公社から分離した際、電電公社の資産を引き継いでいるが、KDD法を廃止して完全民営化した際も、そのまま資産を保有して事業をやっている」「ソフトバンクも元々の母体である日本テレコムが国鉄から分割された際、国鉄の通信資産を受け継いでいるが、そのまま事業をやっている。JRは民営化後でも線路はJRの保有のままだ」と指摘した。
さらに「そもそも光ファイバーはほぼ全て公社ではなく民営化後に敷設している」「ドイツテレコム、フランステレコムなどが会社法を廃止する際に保有する資産を受け継いでいる」とも述べた。
通信会社同士がSNS上で対立するは異例で、SNS上では「珍しい出来事」などと話題となっている。
(更新)NTT広報室の投稿を受けて、三木谷氏のほか、ソフトバンクで代表取締役社長執行役員兼CEOを務める宮川潤一氏、KDDIで代表取締役社長を務める高橋誠氏が相次いでXを更新した。
楽天・三木谷氏:「そもそも今回の騒動は『防衛予算確保のためにNTT 株を売却する』ということで始まったPJT(プロジェクト)で『甘利氏』を中心に情報通信に関係ない議員を中心に組成。防衛予算に充てることがなくなった今、そもそも情報通信政策の一環として、国民目線で多面的に慎重に議論をするべきであり、情報通信分野に強い議員を抜きに『どさくさにまぎれて』進めようとしているのは『正気の沙汰』とは思えない。与党もしっかりとして頂きたい」
ソフトバンク・宮川氏:「三木谷社長のXにNTT広報のコメントありと。だから最初から申し上げています。今こそあるべき姿をトコトン議論すべきと。政治の力を借りるのでは無く、互いにわだかまりが残らないように議論をし尽くしましょうよ。我々は顔を出し議論をする用意があります。通信業界に遺恨が残ります」
KDDI・高橋氏:「防衛財源の話でなくなっている中、本件は電気通信事業の根幹に係る問題で、公正競争にかかる根本的かつ重要な課題なので、公開の議論の元、方向性を決めていただきたいと思います。NTT法において残すべき重要な事項の担保無くしてNTT法を廃止することには断固反対します」
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