神戸市の歩車混在空間で自動運転レベル4相当の運行に成功--1往復平均5回障害物を回避

　ソフトバンクの子会社となるBOLDLYは10月10日、9月23～29日までの期間、兵庫県神戸市須磨区の須磨海岸周辺において、自動運転レベル4に対応可能な自動運転EV「MiCa」（ミカ）の一般市民向け体験乗車会を実施したと発表した。

　神戸市からの委託を受け、須磨駅〜中央広場〜東広場の3カ所にバス停を設置。案内などの役割を担う係員1人を車内に配置し、須磨海岸の敷地内となる片道1.2km（往復2.4km）を1日に24便運行したという。定員は係員含む各便8人で、乗車料は無料だったとしている。

　神戸市の管理用道路という自転車・歩行者も通行する歩車混在の交通環境の中、1往復当たり平均約5回、自動で障害物を回避。期間中の自動運転率は99.3％となり、自動運転レベル4相当での運行に成功したという。車内のコントローラーによる手動運転に対応したが、車庫入れなどの一部の場面に限っての利用だったとしている。

　期間中は、累計1079人が乗車し、観光などの移動手段として利用。歩車混在空間でMiCaの実証運行を実施したのは国内で初になるという。

　MiCaは、自動運転シャトルの設計・製造を行う、エストニア共和国のAuveTechが2022年10月に発表した自動運転車両。障害物回避機能を搭載し、機器やシステムの構成を二重化するなど、自動運転レベル4に対応するための特徴を備えているという。

　BOLDLYは日本におけるMiCaの唯一の販売代理店として、自治体や交通事業者によるMiCaの導入を推進。また、AuveTechと提携してMiCaの日本仕様モデルも開発しているという。BOLDLYの運行管理システム「Dispatcher」に対応した機器やカメラなどを製造段階から搭載、車両のソフトウェアとDispatcherがAPI連携するなど、Dispatcherネイティブの車両になっているとしている。

　乗車会の会場となった須磨海浜水族園・海浜公園は、神戸市による再整備が進められており、2023年9月1日に須磨海浜公園の西半分と、にぎわい施設「松の杜ヴィレッジ」がオープンしている。神戸市は、エリア一帯を広く楽しんでもらうための取り組みの一環として、また将来的に須磨駅と須磨海浜水族館を結ぶルートにおける自動運転車両の定常運行に向けた検討を進めるために、同乗車会を企画したという。

　BOLDLYは今後、自治体や地域の交通事業者などと連携しながら、須磨海岸での自動運転車両の定常運行および、地域活性化を目指すとともに、レベル4の自動運転サービスの実現に向けて取り組むとしている。