ソフトバンクの子会社であるBOLDLYは11月30日、12月1日から北海道上士幌町において、定員8人の自動運転バス「NAVYA ARMA」の定常運行を開始すると発表した。北海道で自動運転バスが定常運行されるのは、今回が初になるという。
自動運転バスの定常運行は当面の間、町役場や病院、道の駅、交通ターミナルなどの主要施設を結ぶ1周約3.5kmのルートで、1日に4便運行する。運行ダイヤは、12月は木曜と土曜のみ運行。2023年1~2月は、月曜、木曜、土曜、日曜に運行する。
まずフェーズ1として、12月から自動運転レベル2で定常運行を開始。既存のコミュニティバスを運営する地域の交通事業者が自動運転バスの運行業務を担い、車内に中型第一種免許を保有するオペレーターが1人同乗する。また、セネックが同社の運行管理プラットフォーム「Dispatcher」を活用し、茨城県境町の遠隔監視センターにて遠隔監視を実施する。
次いでフェーズ2として、2023年度中に自動運転レベル4の運行へ移行する。運転免許を保有しない特定自動運行主任者が1人同乗する予定で、日本初となる市街地でのレベル4の自動運転サービスの実用化を目指すとしている。
上士幌町は、町役場から半径1km以内に主要な施設や住宅が密集するコンパクトな町づくりを推進。自動運転バスの導入で移動の利便性が大きく向上するほか、地域公共交通に関する課題解決への寄与が見込めるという。また、道路の幅が広い、町内に十分な駐車場がある、路上駐車が比較的少ないなど、自動運転バスの走行に適した環境があるとしている。
上士幌町はこれまで、自動運転バスの実証を4回実施。BOLDLYはその全てに参画している。2021年12月に実施した実証実験では、必要な対策を行うことで雪や氷点下の環境でも安全に運行できることを確認したという。
今回の定常運行に向けて11月に実施した運行ルート上での試験走行では、信号がある交差点を除いた区間において、車内のオペレーターがコントローラーを一切操作しない「無介入」での自動走行を達成。レベル4による自動運転サービスの早期実用化が期待できるという。
BOLDLYと上士幌町は今後、住民のニーズを踏まえて自動運転バスの停留所の数やルートを順次拡大。日本で最も高密度な公共交通の構築を目指すとともに、住民の移動手段を確保することで、運転免許の自主返納者を含め、誰もが生き生きと住み続けられる地域の実現に向けて取り組んでいく。
またBOLDLYは、自動運転バスの運行管理やメンテナンスなどの主要業務を地域の交通事業者が行えるように支援する。同プロセスの当初は、同社やセネックが支援する予定で、将来的には地域の交通事業者と連携して最適な運行体制の構築を目指すとしている。
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