アマゾンジャパンは10月18日から、新型タブレット「Fire HD 10」の出荷を開始する。
10月4日には説明会を実施し、取り巻く環境や新製品の特徴、狙いなどを説明した。
新たなFire HD 10は、2015年の初代モデルから5代目に当たる、アマゾンの第13世代タブレットとなる。CPUは最大2.05GHzのオクタコアプロセッサで、RAMは3GB、ROMは32GBと64GB。microSDカードで1TBまで拡張でき、薄さや軽さ、丈夫さ、お手頃価格などがコンセプトになるという。
アマゾンジャパン Amazonデバイス事業本部 Fire Tablet事業部 部長 丸山舞氏は、日本での同社のタブレットの変遷を振り返りながら、「(Fire HD 10の前世代機の)ユーザーからは、動画視聴におすすめ、コスパが良い、お年寄りや子どもでも使いやすいなどの高評価をいただいた。一方、速度や重さなどの改善を求める声もある」と紹介し、新モデルが薄さや軽さ、丈夫さなどにこだわった背景を説明する。
Fire HD 10は、本体とともにスタイラスペン、純正カバーといった専用アクセサリーを展開するほか、「キッズ向け保護カバー」をセットにした「Fire HD 10 キッズモデル」、「キッズ向けスリムカバー」をセットにした「Fire HD 10 キッズプロ」なども用意。本体のスペックは同一ながらカバーなどを工夫し、子どもも使えるタブレットとしても展開する。キッズプロモデルは日本では初登場だ。
丸山氏は、未就学児がいる家庭で使われるタブレットは、約4割がFireタブレットもしくはFireタブレットのキッズモデルという外部委託調査や、2019年の初代キッズモデル発売以降、「BABY TECH AWARD JAPAN」「日本子育て支援大賞」などの6つの賞を受賞したことを紹介。
「エンターテインメント性を強めた米国に対し、日本ではより顧客にフォーカスしている。教育熱心で子どもへの投資意欲が高い方に寄り添い、学校の教育だけでなく、生きる力や考える力を伸ばしたいというニーズに応えてきた」と続け、日本で展開する独自の試みが評価されていると話す。
また、キッズモデルやキッズプロは、3~12歳の子ども向けのサブスクリプションサービス「Amazon Kids+」を1年間、追加料金なしで利用できる。
アマゾンジャパン Amazon Kids Japan事業部 コンテンツ部 兼 事業開発部 部長 小林丈展氏は、「2012年に開始したKids+は、2014年にデバイスとのセット販売を開始したことで人気を博した」と、Kids+の変遷を振り返る。
日本では2019年に開始し、その後対応デバイスの拡張、コンテンツ拡充などを実施。高評価を得る一方で、対象年齢が低いという指摘もあるという。
小林氏は、「小学生の子どもを持つ600人の保護者を調査した結果、コミュニケーションなどのソフトスキルや勉強以外のスキルも重要、という声があった。算国理社英語といったコンテンツは既にある程度整ってきたとも感じていた」と語り、ソフトスキルやプログラミング、小学生新聞といったコンテンツを拡充すると説明。朝日小学生新聞や講談社といったパートナーと協力してコンテンツを拡充するという。
それぞれのコンテンツは、Kids+ユーザーは使い放題で利用できる。キッズモデルやキッズプロでは1年間無料で、無料期間終了後やその他デバイスでのユーザーには月額、3カ月、年額プランを用意している。
説明会では、コンテンツパートナーを代表して4社が集まった。
朝日学生新聞社 代表取締役社長を務める高田圭子氏は、「デジタルデバイスは使いすぎの懸念があるが、Kids+の場合はペアレンタルコントロール機能があり、(朝日学生新聞社としても)安心して提供できる」と、コンテンツ提供の決め手を話す。
また、「従来から、(他社へ、朝日学生新聞社の)記事ごとでの提供はしているが、紙の新聞と同じ紙面イメージを、毎日社外のサービスに提供することは初の試み。アプリとしても、特定のデバイスに特化して開発した初の専用アプリとなった。新聞紙面全体をまず読み、自分の読みたい、気になる記事にたどり着くという感覚をデジタルでも提供できる。その積み重ねが読解力につながり、新聞の学習効果に生きてくる」と同社の注力具合を説明。アプリで毎日届く新聞を、「毎日届く学習教材」にしてほしいと語った。
講談社 第三事業本部 局長を務める太田美千子氏は、「電子書籍は基本的にクレジットカードで決済するため、子どもとのタッチポイントという意味で難しさを感じていた。Kids+では、そういったハードルを越えて、子どもたちが好きなコンテンツをデバイスの中ですぐに触れる」と、Kids+と連携するメリットを説明する。
ディー・エヌ・エー(DeNA) プログラミングゼミ開発者の末広章介氏は、「Kids+の特徴として、同じユーザーが長く使う傾向がある。(Kids+は)子どもがアプリを自分で自発的に探すというプロセスを取るため、モチベーションが継続するのでは」と、関心が長続きしやすい特徴とその理由を分析する。
36の知育アプリを提供するワオ・コーポレーション ワオっち!事業部 事業部長の小林大陸氏は、「(ワオ・コーポレーションは)一部が有料コンテンツとなる『iOS/Android』版も提供しているが、子どもがアプリを気に入っても、課金という部分が興味を広げるハードルになることがある。Kids+のユーザーは全てのコンテンツを利用できるので、子どもが興味の赴くままに使っていただける」と話す。自社のビジネスと、アプリを通して子どもの興味を広げたいという開発者の率直な思いを両立できると歓迎した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス