「iPhone 15/15 Plus」レビュー前編では、新しい「USB Type-C」(USB-C)ポートや高解像度のカメラ、「Dynamic Island」、刷新されたデザインなど、古いモデルのiPhoneから乗り換える人にとって価値を見いだせる多くの新機能を紹介した。この記事では、カメラ性能の旧モデルとの比較、「A16 Bionic」プロセッサーの実力、バッテリー持続時間などについて解説する。
標準モデルの「iPhone」でも、ついにカメラの解像度が向上した。標準モデルでは過去数世代にわたり1200万画素のカメラシステムが搭載されていたが、「iPhone 15」では新しい4800万画素のセンサーが搭載されており、デフォルトで2400万画素の写真を撮影できる。新しいセンサーと改善されたダイナミックレンジの相乗効果により、iPhone 15では、「iPhone 12」などの古いiPhoneと比較して、画質が大幅に向上している。
iPhone 15のデフォルトの2400万画素で撮影した写真は、色鮮やかでくっきりとしており、色彩にも富んでいる。「iPhone 14」との違いは、一見しただけでは分からない場合もあるが、ズームインすると、画質の向上をよりはっきり認識できる。iPhone 15の新しいカメラが最も威力を発揮するのは、人物の写真を撮影するときであることに筆者は気付いた。下に掲載した筆者の夫の写真を見ると分かるように、iPhone 15のカメラは顔や毛髪の細部をより鮮明に捉えている。
iPhone 12などの古いモデルからアップグレードする場合は、一目見ただけで、違いを認識できるだろう。人物の写真を撮影する場合、iPhone 15の写真がほぼあらゆる点でiPhone 12に勝っている。筆者の友人を撮影した下の写真を見てほしい。iPhone 15の写真の方が顔と髪の毛をより細部まで捉えている。この写真が夜に薄暗い屋外レストランで撮影されたものであることを考えると、特にすごいことだ。
AppleがiPhone 15でポートレート撮影を重視していることは、明白である。手動で「ポートレート」モードに切り替えなくても、背景をぼかした写真を撮影できるようになったからだ。iPhone 15は、人物や猫、犬を撮影するときに深度データを自動的に取得できるため、ユーザーは撮影後にぼかし効果を適用できる。このような編集オプションがiPhoneに追加されるのは、珍しい。こうした機能は通常、Googleの「Pixel」スマートフォンの強みの1つとされてきたからだ。
ぼかし効果の適用前と適用後の写真を下に掲載したので、確認してほしい。
iPhone 15ではデフォルトで2400万画素の写真を撮影できるが、最高解像度の4800万画素で撮影することもできる。ただし、肉眼では画質の違いがほとんど分からないので、印刷する可能性がある写真を撮影するときに使用するといいだろう。
2400万画素と4800万画素で撮影した写真を並べて比較してみたが、大幅に拡大して表示しない限り、4800万画素の写真の方が鮮明であることは分からなかった。21インチのモニターでも画質差が分かりにくいのだから、スマートフォンの小さな画面で違いを認識するのはほぼ不可能だろう。
とはいえ、iPhoneで撮影した写真の大判プリントを注文しようと思っている人にとっては、そうした非常に細かいディテールが目につくかもしれない。4800万画素のファイルは大きすぎて本記事にはアップロードできなかったが、2400万画素の解像度で撮影した写真を下に掲載したので、確認してみてほしい。
もうひとつ、iPhone 15の新しいカメラセンサーでは、ズーム機能も向上している。カメラアプリには新しい2倍望遠機能が搭載されているが、この点ではサムスンがはるかに先を行っていることを考えると、率直に言って、この機能は多くの人が待ち望んでいたアップグレードだ。「iPhone 15 Pro」は望遠レンズを備えているため、iPhone 15よりもはるかに高画質のズーム写真を撮影できるが、iPhone 15の場合はカメラセンサーの中間の1200万画素を使用して、より鮮明な2倍ズームを実現する。
その結果、iPhone 14と比較すると、2倍ズームでより鮮明かつ精細な写真を撮影できる。しかし、これについても、拡大表示しない限り、顕著な違いはない。そこで、新しい2倍ズーム設定で撮影した写真を、ヤシの木を中心にトリミングしてみた。iPhone 15の方がピクセルレベルでより多くのディテールを捉えていることがお分かりいただけるはずだ。iPhone 14では、ピンチズーム機能を使用して、手動で2倍にズームインした。
しかし、ズーム写真撮影に関して言えば、依然としてサムスンがAppleの先を行っている。799ドル(日本では13万6330円)の「Galaxy S23」には、3倍光学ズームが可能な専用の望遠レンズが搭載されており、より鮮明な画像をより柔軟に撮影できる。先ほどと同じ風景を「Galaxy S23 Plus」の3倍ズームで撮影した写真も紹介しよう。
全体として、iPhone 15の新しいカメラは、iPhone 14と比較してもアップグレードを認識できるが、「アップグレードした」と納得できるほどの大きな進化ではない。とはいえ、古いスマートフォンから乗り換える人は、顕著な違いを感じられるはずだ。
iPhone 15は14 Proの「A16 Bionic」チップを継承している。Appleによると、このチップは、パフォーマンスを全体的に向上させ、より高速な機械学習を可能にするという。これは、「iOS 17」のオーディオメッセージの書き起こしなど、言語処理を利用する機能にとって重要だ。
A16 BionicプロセッサーはAppleの最新のモバイルチップというわけではないが、ユーザーがスマートフォン上でしそうなことの多くを処理できるだけの性能を備えている。例を挙げると、モバイルゲームのプレイ、「Instagram」のスクロール、写真の編集、ビデオ通話などだ。2年以上前のスマートフォンからアップグレードする人は、パフォーマンスの向上をより顕著に感じられるだろう。
筆者も、それを経験として知っている。iPhone 15をレビューするまで、iPhone 12をメインのスマートフォンとして使っていたからだ。iPhone 12と比べると、15はすべてが軽くて速いように感じるが、特に夜の屋外レストランのような薄暗い環境で写真を撮影するときの処理速度は顕著だった。
iPhone 15シリーズには、Appleの第2世代の超広帯域チップも搭載されており、群衆の中から友人や家族を見つけるという新機能を可能にしている。「探す」アプリで位置情報を共有している相手がいる場合、その相手が自分の現在地からどれだけ離れているかが表示され、相手のいる場所まで案内してくれる。スマートフォンを使って「AirTag」を見つけるのによく似ている。
ただし、注意点もある。この機能は、iPhone 15シリーズのモデル間でしか機能しない。つまり、本人と友人の全員が機種のアップグレードを予定していない限り、この機能をすぐに使用することはないだろう。
Appleによれば、iPhone 15のバッテリー持続時間はiPhone 14と同じだという。つまり、iPhone 15では最大16時間、15 Plusでは最大20時間の動画ストリーミング再生が可能だ。
筆者のレビューでは、iPhone 15を約13時間使用した後、バッテリー残量を確認してみると35%だった。その日は、iPhone 15で写真を何枚も撮影したり、「Googleドライブ」にファイルをアップロードしたりした。つまり、iPhone 15のバッテリーは楽に丸1日を乗り切れる可能性が高いが、長時間にわたって大量の写真や動画を撮影することになりそうな日には、充電器も携帯した方がいいだろう。
米CNETの使用テスト(画面の輝度を50%に設定して、モバイルゲームのプレイ、ビデオ通話、動画のストリーミング、SNSの閲覧を45分間実施)では、iPhone 15の標準モデルではバッテリーが100%から95%に減少した。iPhone 14では同じテストで95%から85%に減少したので、旧モデルよりも改善されている。iPhone 15の結果は、「iPhone 14 Plus」やサムスンのGalaxy S23 Plusと同等だ。
iPhone 15はさまざまな点でiPhone 14 Proと似ているので、筆者はちょっとした既視感を覚えた。しかし、古いモデルのiPhoneから乗り換える人は、新しいUSB-Cポートや高解像度のカメラ、「Dynamic Island」、刷新されたデザインなど、今回のアップグレードに多くの価値を見い出せるはずだ。この3年間、iPhone 12を使用してきた筆者にとって(もちろん、ほかのスマートフォンをレビューすることはあったが)、これは確かに大きなアップグレードだと感じる。一方で、iPhone 14や「iPhone 13」を持っている人は、USB-Cや「Dynamic Island」をどうしても使用したいというのでなければ、もう少し待ってもいいかもしれない。
iPhone 14 ProはAppleの公式サイトではすでに販売を終了しているが、小売店や通信事業者では、まだ販売されている可能性がある。iPhone 15を買う判断をする前に、14 Proが値引きされた価格で販売されていないかチェックすることをお勧めする。14 Proには、iPhone 15と共通する点がたくさんあるが、専用の望遠カメラが搭載されており、常時表示ディスプレイといった機能も多数含まれている。可変リフレッシュレートも高いのでスクロールも滑らかだ。その一方で、USB-Cポートは搭載されていないことに注意してほしい。余計なケーブルを持ち運びたくない人にとって、これは重要なポイントだ。
全体として、iPhone 15は古いiPhoneから飛躍的に進歩しているように感じる。「iPhone 14 Pro Lite」と言ってもいいほどだ。iPhoneの「Pro」モデルが標準モデルに大きな影響を及ぼしていることがよく分かる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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