初代「iPhone」が2007年に発売されて、その価格が499ドル(当時のレートで約6万円)だったときのことを覚えているだろうか。当時は驚くほど高額だったが、それはただの始まりにすぎなかった。Appleを象徴するこの製品の価格はその後、技術や機能の向上、インフレなど、さまざまな要因を理由に、着実に、ときに大幅に、上昇していった。Appleは株式公開企業として、同社売上高の半分近くを占める好調なiPhone事業を、成長させ続けなければならないというプレッシャーに常に直面している。しかし、AppleはiPhoneの価格をどのくらい引き上げられるだろうか。
iPhoneの価格はこの15年間で、インフレを差し引いても高騰し続けている。しかし、iPhoneの価格上昇は、一貫して続くものではなく、予測可能なものでもない。Appleは、消費者需要、競争圧力、(iPhone生産のコスト増につながる)インフレなど、さまざまな要因に基づいて価格戦略を調整している。
スマートフォン市場は低迷しているにもかかわらず、Appleは、2023年のiPhone価格を引き上げることが可能だと自信を持っているようだ。さまざまな臆測や報道によると、「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」の米国での価格は、現行モデルと比べて100ドル、または200ドルも高く設定される可能性があるという。Appleは、チタニウムのボディ、高速なプロセッサー、極薄ベゼル、高性能カメラなど、Proモデルに加えられる独自の機能や改良によって、その価格上昇を正当化するつもりかもしれない。
アジアや欧州の一部の国では、2022年のiPhone発表イベントに先立ち、ドルに対する通貨価値が下落。Appleは同年、米国以外のそれらの地域でiPhoneの価格を引き上げた。英国では、「iPhone 14」は849ポンドからの価格で提供され、「iPhone 13」の779ポンドと比べて約85ドル(約1万2000円)値上げされた。iPhoneの価格が世界で最も引き上げられたのは日本だ。円安が主な原因で、約150ドル(iPhone 13の9万8800円に対して、iPhone 14は11万9800円)値上げされた。しかし、Appleにとって米国以外で最大の市場である中国では、元安にもかかわらず、iPhone 14は値上げされなかった。それでも、同国ではスマートフォン需要が低迷しており、大手小売業者はiPhone 14モデルの価格を引き下げたと報じられていた。
AppleがiPhone 15にどのような価格を設定するかは、米国時間9月12日のイベントで詳細が発表されるまで分からない。 Appleの2022年のイベントの数週間後に米CNETがインタビューした業界アナリストらは、同社が2023年にiPhoneの通常モデルの価格を引き上げるのは難しいだろうと述べていた。景気の後退が当時予想されていたことと、分割払いプランの拡大でAppleが成功していることが、その理由だった。
「エンジニアリングチームが競争上の差別化要素として、より多くの高度なコンポーネントを製品に詰め込みたいと考えていることは間違いない」と、International Data Corporation(IDC)のBryan Ma氏は2022年に述べていた。「しかし、マクロ経済の低迷がこれから1年経っても続くならば、Apple製品のファンは景気に左右されない高級志向の傾向が強いといえども、消費者が価格上昇に耐えられるかどうかは疑問だ」(Ma氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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