うわさが正しければ、「iPhone 15 Pro Max」はペリスコープカメラを搭載する。そう聞いてワクワクするのは、それが何なのか知っている人だけだろう。よく知らないという人のためにご説明しよう。
簡単に言うと、ペリスコープカメラとは、巧みな技術を用いてかさばる望遠レンズをコンパクトなスマートフォンの筐体に詰め込み、山やミュージシャンなど遠くの被写体を撮影できるようにしたものだ。
Appleが新しい「iPhone 15」シリーズに何を組み込んだかは、米国時間9月12日の同社イベントで明らかになるだろう。
本記事では、ペリスコープカメラと、それがiPhone 15 Pro Maxに適している理由について解説する。
第1の理由は、iPhoneユーザーにより良い撮影オプションを提供するため。第2の理由は、競合製品に追いつくためだ。
iPhoneの写真撮影では、5倍または6倍の光学ズームがあれば、多くの場面で活躍するだろう。望遠カメラは、遊び場にいる子どもやステージ上の歌手Taylor Swiftのように、少し離れた場所にいる人物の撮影に役立つ。自然や風景の写真も、望遠の距離が伸びれば撮影しやすくなる。
「iPhone 14 Pro」のカメラは、デジタル一眼レフカメラの72mmレンズに相当する、光学3倍ズームの望遠機能を備える。便利ではあるが、Googleの「Pixel 7 Pro」が搭載する光学5倍ズームカメラや、サムスンの「Galaxy S23 Ultra」が搭載する光学3倍および10倍ズームカメラには遠く及ばない。iPhoneは競争力がある(実際、競合する「Android」デバイスからシェアを奪っている)が、望遠撮影の性能は競争上の弱点となっている。
望遠カメラの基本的な問題は、レンズ部分を物理的に長くする必要があることだ。この光学的、物理的、工学的な限界を克服する簡単な方法はない。
ペリスコープカメラは、この細長い部品の大部分をスマートフォン本体の内部に組み込むことで実現している。外側のレンズは普通のスマートフォンのカメラと同じように見えるが、その裏側には光を90度屈折させるプリズムまたは鏡が隠されている。Appleが2016年に取得した「Folded Telephoto Camera Lens System」という特許には、プリズムを使った方式と鏡を使った方式の両方が記載されている。
プリズムは角度のついた透明のガラスまたはプラスチックでできており、双眼鏡や一眼レフカメラのファインダーのような光学機器で長年にわたって使われている。高品質のプリズムは画質を大きく劣化させることがない。
現在のペリスコープカメラは、従来のカメラでおよそ120mmの焦点距離に相当する5倍ズームを実現している。一方、Pixel 7 Proは画像中央部の画素だけを高解像度のイメージセンサーで処理することで、デジタルズーム技術を一切使わずに10倍ズーム(およそ240mmの焦点距離に相当)での撮影を可能にした。
ペリスコープカメラは優れたズーム性能を提供するが、プロの写真家が従来のカメラとそこそこの望遠レンズを組み合わせて実現できる画質には及ばない。ましてや、価格が200万円を超え、リュックサックに入れるのにも苦労する重さ3kgの超望遠レンズとは比べ物にならない。Pixel 7 Proの5倍モードや10倍モードは、遠くにいる鳥を識別するには十分だが、その鳥を高画質で撮影するのには向いていない。
このような限界が存在する理由は、やはりペリスコープカメラのイメージセンサーは比較的小さく、光の少ない環境を苦手としているからだ。センサーを大きくするほど画質は高くなるが、コストも上がってしまう。また、センサーが大きくなれば、付随するレンズ部分も大きく高価になる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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